
一般用医薬品を大量かつ低価格で販売する韓国の「倉庫型薬局」で、乱用や不適切使用の恐れがある薬まで十分な制限なしに販売されている実態が明らかになり、専門家の間で消費者の安全が軽視されているとの懸念が高まっている。
ソウル市衿川区のホームプラス衿川店3階にある「メガファクトリー薬局ソウル店」では、鼻づまりの緩和に使われるプソイドエフェドリン成分入りの風邪薬が、事実上制限なく販売されていた。
食品医薬品安全処は、この成分を含む一般用医薬品について、1人当たり最大4日分までの販売とする指針を示している。過去にはこの成分を抽出して覚醒剤を製造した事例があったためだ。
店内には「1人最大4日分まで」と記された案内もあったが、記者が約10日分を購入しても特に制止はなかった。同行した薬剤師会関係者は「明らかな規定違反だ」と指摘し、行政処分の検討が必要との見方を示した。
2026年2月に開店した同店は、約1740坪規模の大型薬局で、健康機能食品や衛生用品、ヘルスケア商品なども並ぶ。来店客は大型カートを使い、商品をまとめ買いしていた。価格は一般的な薬局よりも安く、解熱鎮痛剤のタイレノールも市中価格より約3割低かったという。
一方で、薬が単なる「買い物対象」となり、服薬指導が不十分になりやすい点が問題視されている。店内では、副作用の恐れがある高濃度の脱毛症治療薬を選ぼうとしていた高齢女性に対し、売り場で十分な説明がなかった。薬剤師会関係者が副作用や使用方法を説明すると、女性は「初めて聞いた」と驚いたという。
さらに、乱用リスクが高い睡眠導入剤も大きな制限なく販売されていた。ドキシラミン成分の睡眠導入剤を20日分購入する際も、薬剤師による説明は簡単な服用方法にとどまった。関係者は「数錠で強い眠気が出るため、一般の薬局では大量購入や繰り返し購入を防ぐことが多い」と指摘している。
倉庫型薬局は2025年に韓国で初めて登場して以降、1年で全国30カ所以上に増加した。大型店舗の拡大により、地域の薬局は価格競争で不利な状況に置かれている。
近隣の薬局関係者からは、常備薬まで倉庫型薬局でまとめ買いされれば経営への打撃は避けられず、その結果として地域の薬局が減少し、消費者の利便性低下につながる可能性があるとの懸念も出ている。
薬剤師会側は、専門的に扱うべき医薬品が単なる商品として消費され続ければ、副作用や乱用の問題が数年後に表面化する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
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