
中東情勢の緊迫化による航空運航の混乱が長期化する兆しを見せる中、欧州旅行市場にも影響が広がっている。これまで欧州旅行の「低価格」と「効率」を支えてきた中東経由路線が事実上停止し、韓国の旅行業界は代替ルートの確保に追われている。
業界によると、エミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空など中東系航空会社を利用する欧州向けパッケージツアーの予約客に対し、旅行会社はキャンセル料なしで全額返金する対応を進めている。
現在、旅行会社の最優先課題は代替ルートの確保よりも既存予約の処理だ。戦争という不可抗力の事態を理由にキャンセル料を免除し、100%返金することで顧客の被害を最小限に抑える方針となっている。
旅行会社「黄色い風船」の関係者は「アブダビやドバイなどを経由する出発直前のツアーは全面的にキャンセルしている。代替便では日程が合わないため、現時点ではキャンセルするしかない状況だ」と説明した。
一方、旅行会社はトルコ・イスタンブール経由や東南アジア経由など、新たなルートへの再編を急いでいる。
こうした状況に加え、原油価格の上昇と為替のウォン安も重なり、欧州旅行のコスト構造自体が大きく揺らいでいる。
ソウル外国為替仲介によると、ウォン・ドル相場は3日の夜間取引で一時1505.8ウォンまで下落した。1500ウォン台は2009年3月以来、約17年ぶり。
この急騰の背景には世界的なドル高がある。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、安全資産としてドルが買われ、ドル指数(DXY)も攻撃前の97台から3日には99台に上昇した。
旅行業界の関係者は「中東経由路線は韓国の航空会社による直行便より30万~50万ウォン(約3万5760円~約5万9600円)ほど安く、欧州パッケージツアーの中核を担ってきた。この路線が止まり、さらに為替と原油価格の上昇が重なれば、欧州旅行のコストは数十万ウォン単位で上昇する可能性がある」と指摘した。
旅行会社が現地のランドオペレーターに支払うホテル、食事、車両などの費用は多くがドル建てとなっている。このためウォン安が進めば旅行会社の利益が圧迫されるか、旅行商品の価格が大幅に上昇する構造となる。
ただ、旅行会社は当面のツアー価格への影響について慎重な姿勢を示している。
ハナツアーの関係者は「原油価格が上昇しても燃油サーチャージに反映されるまでには2カ月ほどの時間差がある。仮に航空運賃が上昇しても、旅行会社は事前に航空座席を確保しているため、直ちに旅行商品の価格が変わる可能性は低い」との見方を示した。
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