
北朝鮮が2月の第9回朝鮮労働党大会を機に、観光活性化戦略を再編した――韓国・国家安保戦略研究院のイ・ジソン研究委員は最近発刊した報告書で、最近5年間の北朝鮮の観光政策を評価し、元山葛麻海岸観光地区と三池淵山岳観光地区の開発過程でキム・ジョンウン(金正恩)総書記が示した戦略的方向性と具体的な言説を分析した。
北朝鮮は2月に開いた第9回党大会で、観光業を「国の経済成長と文明発展を推し進める新たな事業」と位置づけた。イ・ジソン氏は、キム総書記の党大会事業総括報告で、第8期党中央委員会の観光部門の成果はほとんど省略された一方、新たな経済・対外戦略で観光活性化が主要課題として示された点に注目した。
イ・ジソン氏は「観光活性化の重要な争点は、対外関係改善と開放に伴う実質的効果を生み出せるかどうかだ。北朝鮮経済における観光の比重はわずかだが、新たな観光活性化政策が以前より一歩進んだ成果を出せるか見守る必要がある」と述べた。
第9回党大会の前後に再び浮上した観光活性化戦略は、正常・文明国家イメージの向上、経済的成果の拡大、地方発展との連携がカギだと分析される。
イ・ジソン氏は、北朝鮮のパク・テソン(朴泰成)首相が4月に三池淵地区を現地視察したことも、こうした分析を裏付けると指摘した。建設、都市管理、軽工業分野に専門性があり、2024年に策定された「地方発展20×10」政策に関与したパク・テソン首相の観光地視察は、最高指導者の重点事業に対する内閣の実行力を強化する次元で実施されたとの解釈が可能だという。
イ・ジソン氏は、北朝鮮当局が対外関係の拡大と国境開放に合わせ、外国人観光の活性化を段階的に進めると予想した。初期段階の試験的開放ではロシア人観光事業を通じて外国人観光活性化の契機をつくり、中期段階では中国人観光を大規模に再開・拡大して収益増加に注力すると見通した。
ロシア人観光客は1万~3万人規模に拡大する可能性があり、1人当たりの消費額が700~1200ドル(約10万8500~18万6000円)の場合、北朝鮮の外貨収入は年間約1000万~4000万ドル(約15億5000万~62億円)程度になる――イ・ジソン氏はこう予測した。
中国人観光客の対北朝鮮観光需要は、過去の事例などを踏まえると年間30万~50万人まで拡大が可能で、観光客による外貨収入規模は年間約1億3500万~3億ドル(約209億2500万~465億円)と見込んだ。
後期段階では、友好国と一部西側諸国に対する選別的開放、多国間機関との協力も限定的に進む可能性があるとみる。ベトナム、ラオス、キューバ、ベラルーシ、カンボジア、モンゴルの観光当局との業務協約締結は、国際協力拡大の契機にもなり得る。実際、3月に北朝鮮とベラルーシの間で友好条約が結ばれた後、北朝鮮内のベラルーシ大使館設置とともに、ノービザ入国など人的交流拡大策が議論された。
ただ、イ・ジソン氏は、大規模観光客の受け入れ能力、事件・事故対応体制、体制・イメージ管理の問題が制約要因になり得ると判断している。外国人関連の事件・事故が発生した場合、安全管理と事後対応の問題は対外イメージの毀損につながる可能性があり、外国人観光活性化の主要な障害になり得るという。
イ・ジソン氏は、北朝鮮の観光拡大政策に対応するため、韓国はロシア、中国、国際機関を介した対北朝鮮の三角・多国間協力方式を通じ、「迂回的な形の協力接点」を模索する必要があると提言した。北朝鮮が自力で解決しにくい観光能力の強化、観光安全教育、観光インフラ改善などは、外部協力による段階的な補完が不可避だとの分析からだ。
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