2026 年 3月 10日 (火)
ホーム社会事故は増えても返納は進まず…韓国社会も直面している「高齢者運転のジレンマ」

事故は増えても返納は進まず…韓国社会も直面している「高齢者運転のジレンマ」

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韓国で高齢者による交通事故が年々増加するなか、依然として運転免許の自主返納率は2%台にとどまっている。専門家は、高齢者の移動手段確保や返納後の実質的な支援策が不足している現状に警鐘を鳴らしている。

ソウル・江南の運転免許試験場に16日、75歳以上の高齢者21人が免許更新のための「認知機能自己診断」と「交通安全教育」を受けに集まった。この教育を受けなければ更新できない制度となっている。

この日会場に集まった高齢運転者は、病院通いや職場、趣味活動など、さまざまな理由から運転免許の更新を決めていた。79歳のチェ・ジョングァン氏は「戦争で受けた銃創の後遺症で長く歩けず、週に1〜2回は病院に行くために運転している」と話す。また、81歳のユン・ヒョンスク氏は「全国の教会を巡礼するのが趣味で、まだ4〜5年は問題なく運転できると思う」と語った。

47年前に免許を取得したチェ・ヨンホ氏(77)は「工場が郊外に移転して以来、公共交通機関は利用していない。検査を受けてみると、昔より反応が確かに遅くなっているのを自覚した」と述べた。

一方で、高齢者による交通事故は深刻化している。道路交通公団によると、2024年の65歳以上による交通事故件数は4万2369件で、2020年比で36.4%増加した。ソウル市庁前の逆走事故や鐘閣駅でのタクシー突進、富川市場でのトラック暴走など、高齢者が関与する重大事故が相次いでいる。

この日実施された自己診断テストでは、交通標識の識別、空間記憶、注意力の追跡などが問われ、参加者はヘッドホンをつけて画面に集中した。結果が即時に表示され、一部の項目で低評価となる高齢者もいた。講師は「防衛運転を以前より意識すべきだ」とし、病気や服薬による影響も無視してはならないと強調した。

しかし、免許返納を促す取り組みは進まず、ソウル市では返納者に2万ウォン(約2200円)を支給しているが先着制であり、自治体ごとに支援内容もまちまちだ。

専門家は、返納後の“移動手段”確保が必要不可欠だと指摘する。

元ソウル市交通運営課長で、現在「スタジオ・ガリレイ」本部長を務めるカン・ジンドン氏は「返納率が低いのは、喪失感によるところが大きい。単発の支援では不十分で、DRT(需要応答型交通)など、距離や用途に応じた移動手段の提供が求められる」と話す。

また、サムスン火災交通安全文化研究所のチャン・ヒョソク研究員は「日本のように、免許返納者に代替身分証を発行する制度も検討すべきだ。病院、スーパー、眼鏡店などで継続的な支援が受けられる制度が必要だ」と述べた。

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