
海外で夫からドメスティックバイオレンス(DV)の暴行を受け、幼い娘を連れて韓国へ帰国した30代の韓国人女性が、約1年後に夫から「子どもの返還請求」を起こされ、法的な対応に苦慮している。韓国の専門家からは、国境を越えた子どもの連れ去りを巡る「ハーグ条約」の適用の有無や、海外での暴行を国内で告訴できる可能性についての解説が出されている。
21日に放送されたYTNラジオ「チョ・インソプ弁護士の相談所」によると、女性は5年前、米サンフランシスコに海外駐在員として勤務していた際に現地で不動産仲介業を営む男性と出会い、現地で結婚して家庭を築いた。
しかし、娘が生まれてから育児や家事を巡る夫婦間の対立が増加。2025年1月、口論の最中に夫から顔にあざができるほどの暴行を受けた。大きな衝撃を受けた女性はその夜に帰国を決意し、夫に詳細を伝えないまま当時3歳だった娘を連れて韓国へ戻った。その後はソウル市内で勤務を続け、娘も現地の保育園に通って安定した生活を送っていたという。
帰国から約1年が経過した最近になり、夫が韓国に入国。女性のもとに家庭裁判所から、夫が起こした「子ども返還請求訴訟」に関する書類が届いた。女性は「暴行を受けて子どもを連れて逃げてきたのに、私に非があるような状況になり困惑している」と訴えている。
この事案について、番組のホン・スヒョン弁護士は「父母の片方が、もう一方の同意なしに子どもを別の国へ連れ去った場合、ハーグ国際児童奪取条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)上の『不法な移動』とみなされる可能性がある」と指摘する。
一方で、同条約には例外規定もある。ホン弁護士は「子どもの移動から1年以上が経過し、子どもがすでに新しい環境に安定して適応している場合などは、返還請求が棄却される可能性がある。今回のケースでは、娘が韓国での生活に十分適応している実態を証明できるかが重要な判断要素になる」と解説した。
また、1年前の米国での暴行事件について女性は刑事処罰を望んでおり、これについてホン弁護士は「海外での犯罪であっても、被害者が韓国国籍であれば韓国の刑法(属人主義)を適用できる。公訴時効(一般的に数年)も切れていないため、韓国の警察に告訴状を提出して処罰を求めることが可能だ」と補足した。
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