
韓国保健福祉省の下半期の主要推進課題の一つである「脱毛治療薬の健康保険適用」が、議論の的になっている。特に同省は、青年基本法上の青年にあたる20~34歳を保険の優先適用対象として検討しているとされる。
しかし、対象となる脱毛患者の間でも「健康保険の適用がより急がれる疾患を優先すべきだ」という主張は少なくない。一方で、若年層の脱毛は就職や対人関係など生活の質に直結する現実的な問題だとする反論も根強い。
17日午後、ソウル市鍾路区鍾路5街一帯。ここは、病院や薬局が密集し、いわゆる「脱毛の聖地」と呼ばれている。この日も処方箋を手にした人々が行き交い、大通り沿いの薬局は混み合っていた。この地域の薬局での脱毛治療薬の価格は、1カ月服用分で約2万~5万ウォン(約2200~5500円)。処方薬か、塗り薬か、飲み薬かなどによって価格は異なる。
20代の男性はこの日、鍾路5街の病院で初診を受け、16万ウォン(約1万7600円)分の薬を処方された。脱毛治療薬の健康保険適用について「当事者には良いことだろう」としつつも、「命に関わるものではないので、健康保険は脱毛患者より重症疾患の患者に優先的に適用する必要があるのではないか」と慎重な反応を見せた。
30代から脱毛症状が始まったという58歳の男性も「若い時に多く抜ければつらいので趣旨は理解できる」としながらも、「問題はお金だ。健康保険財政はそれほど盤石ではない。政府が脱毛の人を心配するなら、むしろ脱毛研究など多様な活動を支援する方がよい」と話した。
韓国重症疾患連合会も前日、声明で「限られた健康保険財源は『救える命を救う場所』に優先的に投じられるべきだ」とし、新薬が開発されても健康保険の給付対象への登録が遅れ、重症・希少難治性疾患の患者や末期がん患者が高額な薬代を負担できず治療を諦めていると指摘した。
一方、脱毛患者のコミュニティー「大多毛」が2025年12月、1週間にわたり822人を対象に実施した調査では、「脱毛治療薬も保険適用されるべきだ」とする賛成意見が84%に達した。反対は16%だった。
ある利用者は「脱毛は単なる美容の問題ではなく、生活の質と精神健康に直接影響する問題だ。就職や対人関係などで不利益を実感する場合も多く、個人にとっては『生存の問題』と感じられることもある」と訴えた。
脱毛治療薬への保険給付適用は、イ・ジェミョン(李在明)大統領が大統領選候補だった2022年に掲げた公約だ。当時も「毛(モ)ポピュリズム」論争が起きた。健康保険財政が限られる中で、脱毛治療薬が重症がんや希少疾患の治療薬より先に保険適用されるのが妥当かという指摘だった。
一部では、若年層を優先検討対象にした政策の方向性に疑問を示す声もある。鍾路5街の病院関係者は「政府は経済的に弱い層が若年層だと考えて適用しようとしているようだが、実際に若年層で生存の脅威を感じているケースは多くない」と説明した。
この関係者は「20、30代は脱毛の進行度がそれほど深刻ではない。むしろ大きなストレスを受け、本当に苦しんでいるのは40、50代に多い。薬の処方のために病院を訪れる脱毛患者のうち、20~30代は30%ほどで、70%は40代以上だ」と付け加えた。
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