2026 年 6月 16日 (火)
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最新のAIを駆使する犯罪者 vs 規制に縛られる捜査機関…なぜ警察は「速度戦」で勝てないのか [韓国記者コラム]

(c)news1

韓国統一地方選挙を4カ月後に控えた2月、蔚山南区庁長の立候補予定者が広報映像で「米タイム誌に選ばれた人物」だと虚偽情報を広め、過料を科された事件があった。問題の広報映像は人工知能(AI)を使ったディープフェイク映像だったが、AIで制作したとの表示はなかった。

まさに犯罪はAIと出合って進化している。知人や子どもなどを合成したディープフェイクの性的搾取物はよく知られた問題であり、選挙期間には民意をゆがめる虚偽情報も猛威を振るう。

ボイスフィッシングもAIによって巧妙になった。泣いている子どもの声をAIで合成し、親をだます新たな手口も2026年に報告された。

捜査機関も手をこまねいているわけではない。警察は調書作成などを支援する捜査支援AIを高度化し、年間300万件を超える事件に効率的に対応する。検察も、ディープフェイクによる虚偽情報や性的搾取物を識別する偽造・変造探知技術を研究開発している。

問題は、刻々と変化するAI活用犯罪のスピードに捜査機関が追いつけるかどうかだ。捜査機関は公共機関として制約を受けるため、速度戦を展開するにはやや厳しい状況にある。犯罪者とは異なり、AIを積極的に実戦投入しにくいとの指摘がある。

敏感なデータを扱う機関の特性上、民間の高性能な商用モデルをそのまま活用するのは難しい。セキュリティーや個人情報保護法などに抵触する恐れがあるためだ。結局、捜査の最前線ではAIを使った外国語翻訳など、初期段階の活用にとどまっている。

捜査機関の独自システムに治安特化型モデルを新たに構築することが代案として挙げられている。だが、外部データが制限されるネットワーク分離環境では、正確な回答などモデルが十分な性能を発揮できる保証はない。すでに利用者の目線はチャットGPTやジェミニに合っている。

一方、犯罪者はこうした制約に縛られず、最新のオープンソースモデルを積極的に研究し、犯罪に活用している。すぐに根絶することが難しい新型犯罪が収益モデルとして定着し、それがやがて犯罪の生態系へと発展する。

一部の積極的な捜査官によるAI活用事例に満足してはならない理由がここにある。安定した研究開発予算はもちろん、捜査官が犯罪追跡のためAIを積極的に活用しても不利益を受けないよう、制度を整備する必要がある。

警察と検察の力だけで解決できる問題ではない。省庁横断で動く必要がある。イ・ジェミョン(李在明)政権が国政課題として、国民すべてがAIの恩恵を享受する「みんなのAI」を掲げた以上、治安目的のAIにも政府レベルの関心と投資が必要だ。【news1 ユン・ジュヨン記者】

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