
韓国政府は、米政権の輸出統制措置により、米人工知能(AI)新興企業「アンソロピック」の最上位AIモデル「ミュトス」の活用に制約が生じたことを受け、すでにアクセス権を確保している米「オープンAI」の「GPT 5.5-サイバー」で当面の対応に乗り出す方針を固めた。
今回の統制問題をめぐり、韓国政府は類似した性能を持つGPT 5.5-サイバーを活用し、AIを基盤としたサイバーセキュリティー問題に対応する方向で調整している。現在、大統領府国家安保室を中心に毎週開かれる関係省庁会議で対応策を模索しており、大統領府の核心関係者は「ミュトス対応会議は国家安保室の主宰で毎週開いている。ミュトス輸出統制には、まずGPT 5.5バージョンで対応する」と述べた。
韓国政府はこれまで、AIが安全保障の枠組みを揺るがすという「ミュトス・ショック」に備え、ミュトスを含む世界最上位AIモデルへのアクセス権確保に力を入れてきた。しかし、今回の事態でミュトスの活用が難しくなったため、最近アクセス権を確保したGPT 5.5-サイバーを中心に対応する考えとみられる。
アンソロピック社によると、米政府は12日、外国人による「クロード・ミュトス5」と「クロード・フェーブル5」へのアクセスを全面中断する輸出統制指針を出した。いずれも同社の最上位級AIで、ミュトスはサイバー安全保障上の懸念から、現在は限定的にアクセス権が提供されている。フェーブル5はミュトスに安全装置を加え、一般公開されたモデルだ。最近、韓国政府と一部企業は、ミュトスへのアクセス権を提供する「プロジェクト・グラスウィング」に参加したが、今回の米政権の措置によりモデル活用にブレーキがかかった状態だ。
韓国政府は短期的にはオープンAI社の最上位モデルを基盤に、AIを使ったサイバー脅威へ対応する方針だ。あわせて、アンソロピック社のミュトスへのアクセス権を再び確保する方法も探っている。韓国科学技術情報通信省の関係者は「引き続きアンソロピック社と意思疎通している」と明らかにした。
現在、アンソロピック社は米ワシントンに最高位の技術陣で構成された代表団を急派し、トランプ大統領率いる米政権とAI輸出統制問題をめぐって協議している。同社は「誤解から生じたことと判断している。できるだけ早く接続を復旧できるよう努力している」と言及している。
長期的には、こうした技術独占や統制に対応するため、韓国が独自のAI技術力を備えることが重要だとの指摘も出ている。ハ・ジョンウ元大統領府AI未来企画首席は、自身のフェイスブックで「2020年下半期にGPT-3が登場した時から、いつか最高のAIは輸出統制の可能性があると述べてきた。このようなことはいつでも続いて起き得る。だからこそ、一国独自のAI能力、すなわちソブリンAI(AI主権)が重要だ」と指摘した。
韓国政府も2027年から、国内の情報保護体制を独自AI技術基盤へ転換し、AI安全保障主権を確立するためのさまざまなプロジェクトを進める予定だ。ペ・ギョンフン(裵慶勳)副首相兼科学技術情報通信相は5月29日の記者懇談会で「最近、ミュトスのようなフロンティアモデルが登場し、新たな課題が生まれた。今は米国、中国と同等水準のフロンティアモデルを作る挑戦をする時が来たと思う」と述べた。
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