
孤独死や身寄りのない「無縁故死」を防ぎ、自らの意思で人生の最期を締めくくる「尊厳死(ウェルダイング)」への関心が韓国で高まっている。ソウル市鍾路区は今月、孤独死のリスクが高い50歳以上の生活困窮1人世帯を対象とした「尊厳死教育」を開始した。
10日午前に開かれた講座には、高齢者ら約20人が参加。現在の平均的な葬儀費用が約2000万ウォン(約220万円)に上る実態などが紹介され、熱心にメモを取る姿がみられた。受講者は模擬の「事前葬儀意向書」を作成し、喪主の指定、訃報の範囲、祭壇の装飾、埋葬方式などを自ら選択した。
1人暮らしの男性(82)は「葬儀は簡素にしたいと思っていたが、棺や装束まで前もって考える必要があるとは知らなかった。最期をどう準備するか考える良い機会になった」と淡々と語った。
背景には、1人世帯の急増と孤独死問題がある。保健福祉省の調査によると、孤独死の約6割を50〜60代が占める。鍾路区でも全世帯の半数近くが1人世帯だ。
今回の事業はソウル市の弱者支援公募に選定されたもので、区の担当者は「事前に提出された意向書をデータ管理し、万が一無縁故で亡くなった場合でも故人の意思を葬儀に反映する」と説明する。ソウル市では2018年に公営葬礼条例を制定し、低所得層らの葬儀支援を行っているが、今回の教育を通じてさらに踏み込んだ1人世帯の終活支援を目指す。
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