2026 年 4月 29日 (水)
ホーム政治北朝鮮「日本は眼中になし?」…北朝鮮・金正恩総書記が貫く“冷徹な無視”と、妹に任せた「格下扱い」の外交術

「日本は眼中になし?」…北朝鮮・金正恩総書記が貫く“冷徹な無視”と、妹に任せた「格下扱い」の外交術

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)党部長(c)news1

北朝鮮が、韓国と米国に対してはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の肉声演説で強い非難メッセージを出す一方、日本への言及は徹底して制限する「二重構造」の外交を駆使しているとの分析が出ている。日本を完全に無視しているわけではないが、日本関連の事案では「発信者」を明確に分けている。

3月23日に開かれた第15期最高人民会議第1回会議で国務委員長に再選出されたキム・ジョンウン総書記は、施政演説で米国と韓国を強く批判した。韓国を「最も敵対的な国家」、米国を軍事的対峙の相手とそれぞれ規定し、体制安全保障への直接的脅威と位置付けた。しかし日本については一言も触れなかった。

新たに構成された最高人民会議外交委員会の顔ぶれを見ても、日本に対する北朝鮮の関心は韓米に比べて相対的に低いように映る。中国通のキム・ソンナム(金成男)委員長(党国際書記)や、対外経済協力を担うとみられる経済専門家のキム・ドックン(金徳訓)副委員長(第1副首相)ら計9人で構成された外交委員会に、日本関連業務を専従してきた委員は1人もいないと分析される。

一方、日本は北朝鮮との対話に強い関心を示している。日本外務省のアジア大洋州局には、北朝鮮問題を担当する職員だけで約15人が配置されているとされる。高市早苗首相は北朝鮮のミサイル発射実験を繰り返し非難しながらも、キム・ジョンウン総書記との首脳会談開催に意欲を公に示してきた。日朝関係が日本側の一方的な「片思い」のように見えるとの評価が出る理由だ。

北朝鮮が完全に沈黙していたわけではない。キム・ジョンウン総書記の施政演説があった日、妹のキム・ヨジョン(金与正)党部長は約2年ぶりに日本を狙った談話を発表した。キム・ヨジョン氏は、日朝首脳会談は「日本が望んだり決めたりしたからといって実現する問題ではない」とし、「一方的な議題を解決しようとする日本首相と会ったり、対面したりする意思はない」と明らかにした。

キム・ヨジョン部長が言及した「一方的な議題」とは、拉致問題を指す。日本は日朝首脳会談を通じて拉致問題を議論する必要性を提起しているが、北朝鮮はこの問題はすでに「終わった事案」だとの立場を崩していない。

注目されるのは、北朝鮮が日本にメッセージを出す方式だ。韓国や米国に対しては最高指導者が公開演説で直接非難したが、日本に対してはキム・ジョンウン総書記より格下のキム・ヨジョン部長が「全面的に個人的な立場」というただし書きを付けて談話を出した。そこには、明確な差をつけようとする意図がうかがえる。

こうした雰囲気の中で、日朝間の有意義な対話が開かれるのは容易ではなさそうだ。高市首相とは異なり、日本の世論は日朝首脳会談に好意的ではないとの見方が支配的だ。北朝鮮が拉致問題について、日本に納得できる解決策を示すのは難しいとみられるためだ。

それでも日本では、キム・ヨジョン部長の談話が出たこと自体を、北朝鮮が「対日外交」への関心を示したものと受け止める期待感もあるとされる。

ただ、専門家は日朝間の直接対話について、韓国の場合と同様、米朝対話が先に進む必要があるとみている。米朝対話を促すため、韓国はもちろん、日本や中国、ロシアなどが多国間外交を動かせる環境が整ってこそ、北朝鮮と各国の二国間外交も可能になると考えられる。

(c)news1

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