
3歳未満の乳幼児が虐待によって死亡する事件が相次いだことを受け、韓国政府は医療利用歴のない0~6歳の子どもを対象に全数調査に乗り出す。意思表示が難しい乳幼児の虐待リスクを早期に把握する狙いだが、人手不足などから実効性を疑問視する声も出ている。
保健福祉省は22日、教育省、法務省、行政安全省、性平等家族省、警察庁と合同で「児童虐待予防および対応強化案」を発表した。今回の対策の柱は、代表的な虐待リスクの兆候とされる「医療未利用」の乳幼児に対する管理強化だ。
保健福祉省は「e児童幸福支援事業」を通じて把握した6歳以下の医療未利用児童を対象に、全数調査を進める。医療未利用児童とは、診療記録や乳幼児健康診断、予防接種の履歴がない子どもを指し、対象は約5万8000人と推計されている。
これまで医療未利用児童への家庭訪問は2歳以下に限られていたが、今後は基準を緩和し、0~6歳の子どもについて年齢に関係なく、医療未利用であること自体を理由に訪問調査の対象とする方針だ。
2026年の調査は2回に分けて実施される。1回目(5~7月)は診療記録のない0~6歳児と、健康診断や予防接種を受けていない0~3歳児が対象となる。2回目(7~9月)は4~6歳の未受診・未接種児童と、追加で確認された対象者を調査する。
現場点検の強化も盛り込まれた。2歳以下の子どもや虐待歴のある家庭を訪問する際には、児童保護専門機関の職員が同行し、住居内部の写真や録音など証拠資料の提出を義務付ける。また、外傷の有無などを確認するチェックリストの作成も必須とする。
保護者が訪問を拒否した場合は日程を再調整して再訪問し、それでも拒否が続く場合には警察による捜査を要請する方針だ。
今回の対策は、従来の点検体制の限界を補う狙いがある。現状では、児童虐待に関する専門性が十分でない地方自治体の社会福祉公務員が単独で家庭訪問するケースが多く、現場で異常が見つからなければ調査が終了する仕組みとなっていた。そのため、訪問が形式的に終わるとの指摘が続いていた。
実際、最近明らかになった始興と楊州の児童虐待死事件でも、過去に自治体の家庭訪問が続けられていたが、問題が確認されず調査が打ち切られていた。
ただ、人員体制を踏まえると政策の実効性には課題も残る。現在も自治体の調査人員が不足しており、「公務員2人1組で訪問する」という原則が守られないケースが多いとされる。児童保護専門機関についても、人員や業務の性格上、すべての訪問に常時同行することは難しいと指摘されている。
また、保護者が意図的に別の子どもとすり替えるようなケースへの明確な対策は、現時点で示されていない。
保健福祉省のモ・ドゥスン児童虐待対応課長は「児童保護専門機関は事例管理や相談業務が中心で、即時の同行は容易ではない」とした上で、「自治体と協議し、日程を調整しながら訪問を進める」と説明した。
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