
韓国で20代女性ティックトッカーが殺害された事件で、遺族が「死刑でも娘は戻らない」と悲痛な思いを訴えている。殺人や死体遺棄などの罪で死刑を求刑されている被告の男(50代)への判決は20日午前10時、水原地裁で言い渡される。
被告は2025年9月、仁川・永宗島でティックトッカーのユン・ジアさんを殺害し、全羅北道茂朱郡の山中に遺体を遺棄した罪などに問われている。法廷で初めて被告の顔を見た遺族は、毎回の公判で遺影を抱え最前列に座り続けている。
母親は娘について「家族を支えてくれる頼もしい存在で、誰よりも努力する誇らしい娘だった」と振り返る。アルバイトを掛け持ちしながら成功を目指し、芸能界を志して練習生として活動した経験もあった。
俳優になる夢を抱き、自身の名前を広めるために始めたのが動画配信だった。フォロワーが増え、知名度が上がる中、男が接近した。自身を事業家と名乗り高価な贈り物を送り、「さらに有名にしてやる」と持ちかけたという。
父親は、関係が始まって間もなく娘の表情が暗くなったと語る。「すべて自分のおかげだと思わせる言動で支配していた」とし、心理的に追い込まれていた可能性を指摘した。
女性は2025年8月、配信活動のためソウルで一人暮らしを始めたが、家を出てからわずか1カ月後に事件が起きた。
父親は「事件前日の配信で、ひどく疲れている様子だった」と回想する。やり取りしたメッセージの返信は、実際にはすでに死亡した後、男が本人を装って送っていた。
翌朝、配信がなかったことを不審に思い住居を訪ねたが、女性の姿はなかった。家族が捜索を依頼した翌日、遺体となって発見された。
捜査関係者によると、男は配信後に車内で口論となり暴行し死亡させた。遺体を隠そうとしたが収まらず、生存しているかのように助手席に乗せて長時間移動し、山中に遺棄したとされる。帰路に車が溝に落ち、通報により発覚した。
父親は「一度も手を上げたことのない娘が、なぜ殴られて殺されなければならなかったのか」と声を震わせる。
男は捜査段階で、別の事件で不利になることを恐れ、犯行に及んだと供述した。
遺族はこれまで男から謝罪を受けていない。父親は「反省文が出るたびに怒りが込み上げる」と語る。母親も「雨の中で亡くなっていたと思うと胸が張り裂けそうだ」と涙ながらに話した。
検察は2月27日、論告求刑公判で死刑を求刑した。
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