
南北関係が最悪の冷え込み局面に入る中でも、北朝鮮が韓国で開かれるアジア・サッカー連盟(AFC)女子チャンピオンズリーグ(AWCL)への出場を強行した背景には、南北対話の可能性などの情勢を考慮したというより、国際大会で成果を出す狙いがあるとの分析に重みが置かれている。
韓国統一省とサッカー界によると、北朝鮮の女子サッカークラブ「ネゴヒャン女子サッカー団」は、5月20日に水原で開かれるAWCL準決勝に参加する予定だ。同チームは17日に入国し、20日午後7時に水原総合運動場で水原FCウィミンと準決勝を戦う。勝利すれば23日午後2時の決勝に臨み、24日に出国する予定だ。
当初、準決勝の組み合わせが確定した後、2023年から南北関係を「敵対的な二つの国家」関係だと主張してきた北朝鮮は、試合を欠場し大会から離脱するのではないかとの見方があった。ぎこちない南北関係の雰囲気の中、韓国で開かれる大会に出場して韓国チームと対戦することを巡る政治的解釈や、韓国政府による積極的な接触の試みを避けるためだ。
しかし北朝鮮は熟考の末、参加を決めたとみられる。そこには、国際舞台で競争力を持つ北朝鮮女子サッカーが、再び「成果」を出せるという計算があるとみられる。
今回出場するネゴヒャンは、すでに戦力面で競争力を証明している。2012年創設の同チームは、元北朝鮮女子サッカー代表監督のリ・ユイル氏が率い、平壌を本拠地とする。2021~22シーズンに北朝鮮1部リーグで優勝し、従来の「4・25体育団」を超える新興強豪として浮上した。
さらに選手団の多くは、最近のFIFA U-17、U-20女子ワールドカップで優勝経験を持つ代表級の選手で構成されているという。ネゴヒャンは2025年11月のグループリーグ予選で、準決勝の相手である水原FCウィミンを3対0で破っている。
加えて、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は執権初期から「体育強国建設」を主要課題として掲げ、スポーツに特別な関心を注いできた。スポーツの成果を体制宣伝と直結した分野と見る北朝鮮特有の政策基調が、今回の決定にも反映されたとの分析だ。
北朝鮮は2024年のFIFA U-20女子ワールドカップで優勝した選手たちを手厚く遇する姿を、新聞や放送で大々的に報じた。選手たちが帰国する際にも、ユン・ジョンホ対外経済相(サッカー協会委員長)らが空港まで出迎えて花束を渡し、平壌で開かれたカーパレードに参加するなど、市民の歓迎を受けた。
当時、キム総書記も代表チームを朝鮮労働党中央委員会本部庁舎に招き、「われわれの女子サッカー選手たちが誇らしく勝ち取った勝利は、国全体に楽観と喜びを与えた鼓舞的な慶事であり、愛国的な壮挙だ」とし、「スポーツ選手が国際試合で収める成果は、わが人民をさらに団結させ、闘争の道へ力強く押し出している」とたたえた。
北朝鮮はこうした国際大会の成果を通じて結束を固め、「強い国力」を際立たせ、統治の手段の一つにしていると見ることができる。さらに国際社会でのイメージ向上効果も狙い、今回の大会に「正常に」参加することを決めたとの見方もある。
北朝鮮の参加継続の決定には、大会規定上、棄権時に制裁が伴う点も影響したとみられる。AFC規定によると、正当な理由なく大会途中で離脱した場合、罰金だけでなく、一定期間の国際大会出場資格停止などの懲戒を受ける可能性がある。
大会規定では、トーナメント段階でクラブが棄権した場合、最低10万ドル(約1500万円)の罰金が科される。さらにAFCの判断により、大会準備過程で発生した費用に関する追加措置が続く可能性もある。規定には、棄権クラブをAFC懲戒・倫理委員会に回付できると明記されており、事案によって追加制裁も可能だ。
結局、北朝鮮の今回の決定は、南北関係への考慮よりも、国際スポーツ舞台での実利を考えた「現実的選択」に近いとの評価が出ている。実際、北朝鮮は新型コロナ禍で前例のない「五輪延期事態」を経て2021年に開かれた「2020年東京五輪」に参加せず、国際オリンピック委員会(IOC)から約1年半の資格停止処分を受けたこともある。
国家安保戦略研究院のキム・ジョンウォン北朝鮮研究室研究委員は「ネゴヒャンは表面的にはクラブチームだが、選手団の大半が代表で構成されているため、国家を代表する性格を帯びている。国内外で女子サッカーが国家の地位を大きく高め得るため、参加を決めたとみられる」と述べた。
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