
ソウル市で暮らす会社員のキムさん(27)は最近、友人たちと月1回集まる「やること共同体」を始めた。内容は大がかりなものではない。メール作成や日記を書くこと、運動教室への申し込みなど、日常の細かな用事を2~3人でカフェに集まり、それぞれ片づけていく。
各自が自分の作業に取り組みながら会話を交わし、時には食事も共にする。ただ「やるべきこと」をこなす時間だが、キムさんにとっては孤独を和らげる大切な場だという。
一人暮らしを続けるキムさんは「現代社会は細かく対処すべきことがあまりにも多い。家で一人で取り組むと寂しさで息が詰まるが、集まって作業するだけでも慰めになる」と語る。
大学までは同じ空間で学ぶ仲間がいたが、職場では“各自が生き残る”雰囲気が強いと感じている。「それぞれ違うことをしていても、つながりを感じたくて『やること共同体』と名付けた」と説明する。
こうした動きは対面に限らない。デザイナーのチェさん(33)は、各自の“やること”をSNSで共有し励まし合う「後回しにしていたことをやる会」に参加している。
毎月、「クローゼットの整理」「歯科受診」「動画配信サービスの解約」など目標を設定し、達成のたびに約10人のグループチャットで報告を共有する。近く対面で集まり、一緒に作業する計画も立てている。
チェさんは「誰かと日常を共有するだけで活力が湧く。一人暮らしなので、家族に代わる何かを求めていた。どこかに属し、つながっているという感覚が安心感を与えてくれる」と話す。
専門家は、コロナ禍をきっかけにオンライン会議ツールで広がった“作業会”が、最近では情緒的な交流を伴う形へと発展しているとみている。
文化評論家のキム・ソンス氏は「数年前までは就職準備や資格試験など“やること”そのものに集中する集まりが中心だったが、最近は日常を共有する共同体づくりへと広がっている」と指摘する。「内容が違っても、情緒的な結びつきがあればコミュニケーションは成立する」と述べた。
同じく文化評論家のキム・ホンシク氏は「社会の変化が速く、若い世代が気にかけるべきことが増えすぎている。一人暮らしの若者が多い中、ささやかな用事でも一緒に片づけ、会話できる相手が求められている」と分析する。
さらに、若者が従来の家族や職場といった伝統的な共同体を越え、自ら望む形のつながりを築いているとの見方もある。キム・ソンス氏は「家族や職場という基盤が揺らぐ中、孤独を経験した若者が自分の価値観や趣味に合う集まりをつくっている」と説明する。
キム・ホンシク氏も「かつてはサークルや教会が出会いの場だったが、最近の若者は組織に伴う義務や責任から距離を置きたいと考える傾向がある。SNSなどを通じて緩やかにつながり、新たな共同体を模索している」と語った。
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