2024 年 5月 5日 (日)
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「あなた誰?」同じ質問に韓国と米国のAIが寄せた異なる反応

Adotサービスの画面イメージ(写真=SKテレコム提供)(c)NEWSIS

「私の名前はAdotです。ぜひ覚えておいてください!」

「私を知らないの? 私がそんなに存在感がなかったのか…(泣)」

「私はOpenAIが開発した大規模言語モデルのChatGPTです。自然言語処理技術を使用してユーザーと会話し、質問に答えることが私の役割です」

上から順に韓国通信大手SKテレコムの人工知能(AI)サービス「Adot」、韓国スタートアップ「スキャッターラボ(Scatter Lab)」の「イルダ」、米オープンAI社の「チャットGPT(ChatGPT)」に「あなたは誰?」と尋ねたときに返ってきた答えだ。それぞれ適用された言語モデルによって同じ質問にも反応が全く異なった。

◇独立人格と感性

SKテレコムは自社が主導する「KAIアライアンス(同盟)」に、イルダを開発したスキャッターラボを合流させ、スキャッターラボに150億ウォン(1ウォン=約0.1円)規模の投資を断行した。両社が手を組んで感性対話型AIエージェントと新概念の超巨大言語モデル(LLM)などを開発する計画だ。

SKテレコムとスキャッターラボのAIコラボは、SKテレコムの「Adotサービス」に新たな独立人格(ペルソナ)と感性を持ったAIを新たに移植する方式で進められる。

現在、AdotにはSKテレコムが独自開発したLLMが搭載されている。この言語モデルもチャットGPTのような「GPT-3」をベースとしている。英語データによるチャットGPTとは異なり、同じモデルを基に韓国語バージョンを独自開発したのだ。

◇幻覚エラー

ディープラーニングベースの言語予測モデルであるGPT-3は、1750億個のパラメータ(AI学習用データ)で構成され、言語を学習する。ディープラーニングを通じて言語別に最も自然な文章や単語順のパターンを分析・学習し、ユーザーが特定言語を入力すれば、それに最適した有用な言語に変換・連結する方式だ。

例えば、「私はご飯を〇〇〇」のような順序の言語が提示されれば、最も自然な「私はご飯を食べた」「私はご飯を炊いた」などの文章を完成させることだ。

ただしGPT-3はパターンを覚えて学習するだけで人間のように言語を学習するものではない。文章の構造は自然だが、「氷が冷蔵庫の中で溶けた」ように誤った内容を出力するいわゆる「幻覚エラー」を起こすこともあり得る。

これに対し、チャットGPTは単語量が8倍以上に増え、幻覚エラーはさらに減るなど言語能力が向上しイメージ入・出力まで可能な「GPT-4」の適用が始まった。

◇「人間より人間らしく」

このようにチャットGPTが言語モデルの発展で論理的エラーを減らすことに焦点を定める一方、SKテレコムはAIチャットボットとユーザー間でより豊かな感情的交流と共感を実現することが目標だ。

すでにADotにもこうした感情交流機能は一部含まれている。サービス要請のための「目的性対話」▽友人のように日常的なテーマで対話を継続できる「感性対話」▽知識や情報を得るための「知識対話」――などさまざまなタイプの対話が可能なためだ。

SKテレコムのユ・ヨンサン代表も今年初めに開かれた「モバイルワールドコングレス(MWC)2023」で「知識、感性、目的対話の3つを結合してパーソナライズされた対話経験を提供しようと思う」と強調した経緯がある。

ある業界関係者は「今回のSKテレコムとスキャッターラボのパートナーシップは、より豊かな感性交流、共感などに焦点を置き、これを知識・情報と組み合わせてLMMを開発しようとしている。これまでの『感情があるAI』との対話をさらに強化し、人間よりさらに人間らしい自然な対話を実現させるものだ」と解説する。

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