韓国で「海外送金」市場を先駆すべく、フィンテックスタートアップ企業の競争が激化している。特に最近は企業向け（B2B）送金ソリューションまで設けられ、市場ターゲットを留学生・外国人労働者に加え企業にも拡大している。新型コロナウイルス感染による各国の出入国規制が緩和され始め、該当フィンテック企業がさらなる爆発的な成長を遂げることも期待されている。
◇SWIFTに代わる「海外直取引」で手数料↓スピード↑…フィンテック27社の挑戦
海外送金フィンテック企業の最大の特徴は、従来の銀行とは異なり、国際決済網の国際銀行間通信協会（SWIFT）を使わないことだ。SWIFTでは送金－仲介－受取の段階別銀行を経なければならないため、銀行別手数料やネットワーク使用料などが課せられる。送金時間も1日以上は要する。
一方で、フィンテック企業は複数人から集めた資金を一度に移動させる「プーリング」や、事前に大規模な資金を送金し、個別送金する度に引き出す「プレファンディング」方式でSWIFTを逃れている。海外ネットワークを設けて一種の直取引を進める方式だ。一時、ブロックチェーン技術を活用する方式が取り上げられたこともあったが、国内では規制に阻まれ定着しなかった。
これは米決済サービス大手ペイパルなどの英語圏フィンテック企業の送金方式でもある。韓国では2017年に外国為替取引法が改正され、民間企業も海外送金業のライセンスを取得し事業ができるようになった。韓国金融監督院によると、今月基準で登録された海外送金企業はモイン（MOIN）、セントゥブ（SENTBE）、ハンパス（HANPASS）、ワイヤーバーリー（Wire Barley）を含む27社だ。フィンテック業界のある関係者は「現在、海外送金フィンテック企業が用いるアルゴリズムは詳細には異なるものの、大枠概念は似ている」と説明する。
20社以上のフィンテック企業が参入した理由は、海外送金市場がそれだけ大きいうえに急激に成長しているからだ。
韓国銀行によると、個人の海外送金規模（国際収支分類上、「給料及び賃金の支払い」と「個人移転所得の支払い」の合計）は、2018年の135億ドルから、コロナウイルスの影響により2020年には97億ドルまで減少したが、昨年は98億ドルと回復傾向をみせた。業界は今年から各国が規制を解除し、海外旅行客や留学生・外国人労働者の出入国が増加すれば、海外送金の規模が本格的に反騰するものとみている。
◇B2B市場にも挑戦状…VC業界の多額資金が殺到
モイン、セントゥブなどの企業はサービスターゲットを企業（B2B）にまで広げ、市場を拡大する動きもみせている。中核サービスである従来の海外送金機能に生産・決算機能を加え、海外取引所や経常取引をする企業が、物品やサービス代金を決済する場合に活用できるようにしたものだ。プレファンディングによって送金限度を上げて為替ヘッジ機能も追加したことが特徴だ。
ベンチャー投資業界もこうした動きに注目している。モインは今月初め、B2Bサービスを発表し、米証券関連事業会社キャップストーンパートナーズ（Capstone Partners）やストロングベンチャーズ（Strong Ventures）などから172億ウォン規模の投資を誘致した。キャップストーンパートナーズのユ・ジュンモ審査役は「モインがB2B市場で事業チャンスを掴んだことが、今回投資を決めた核心的なポイントだ」と語った。
特に、該当市場はこれからスタートを切る段階であるために、先取り効果が大きいと強調する。ユ審査役は「輸出入中小企業がビジネス向けに使う送金ソリューションは、これまであまりなかった。B2B市場は新しい成長動力に適している」と説明。さらに「企業間送金市場は送金額からその回数まで、市場規模がはるかに大きい。輸出中小企業などを対象にB2B事業を成功させれば超高速成長が可能になる」と付け加えた。
投資業界は、該当市場がステーブルコインなどのブロックチェーン関連技術の変化を適用する可能性も高いと推測している。一部ではすでに技術力は完成した状態で、あとは政府の規制緩和待ちであると指摘している。ある業界関係者は「2020年と2021年は海外送金の規模自体が減少したことで関連産業に事実上大きな変化がなかった。今年からは産業が大きくなり、市場競争も一層激しくなるものとみられる」と述べた。
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