
韓国国民の約9割が日本との経済・外交的協力が重要だと考え、また約9割が日本の過去の歴史に対する謝罪が十分でないと感じている――こんな傾向がMONEYTODAYの世論調査で明らかになった。協力の必要性を実感すると同時に、それに過去の歴史に関する感情が交錯するというジレンマが浮き彫りになった形だ。
日韓関係の専門家は、歴史を直視しながら「未来志向の日韓関係」を追求すべきだと助言している。国連などの国際舞台で両国の立場が90%以上一致するほど戦略的な利害関係が合致しており、少子高齢化など共通の課題にも直面していることから、相互利益のために包括的な協力が必要だと指摘されている。
MONEYTODAYは韓国ギャラップへ依頼し、2月20~21日、全国の18歳以上の国民1008人を対象に「2025年の対日認識調査」を実施した。
それによると、「経済分野での日韓関係が重要」との回答は87%、「外交分野での日韓関係が重要」は88%だった。
一方で、過去の歴史問題に関しては、87%が「日本は十分に謝罪していない」と回答した。これは、この問題がいつでも日韓関係悪化の引き金となり得ることを意味している。
日本側が韓国に対して公式な謝罪・遺憾の意を表明した回数は50回以上にのぼる。
最近まで駐日大使を務めたユン・ドンミン(尹徳敏)氏は次のような見解を示す。
「日本の戦争世代は韓国に対して申し訳ない気持ちを持っていた。だが、その世代は去り、戦争を経験した祖父から話を聞いた世代が今の日本社会を担っている。日本で『祖父の世代の問題をいつまで韓国に謝罪し続けなければならないのか』という雰囲気がある一方、韓国は『日本は謝罪し続けるべきだ』と主張し、両国の感情的な溝が広がった」
「日本が謝罪するたびに、韓国側は『まったく誠意がない』として受け入れなかった。(韓国で)政権が変わるたびに対応が異なるため、日本側からすれば韓国の要求や態度を信頼できなくなった。両国の努力が必要であり、歴史問題が韓日関係の議論を過度に支配するのは望ましくない」
キム・ウォンジン(金元辰)韓国外交協会理事(元・国立外交院日本顧問)は、過去の歴史問題に関しては日本の前向きな努力が必要だと述べたうえで、次のように訴えた。「謝罪とは、被害者が『もう十分だ』と言うまで絶えず続けるべきものだ。謝罪とともに賠償もし、将来、同じ行為を繰り返さないことを約束するという、一連の対応が求められる」
日韓文化交流基金の鹿取克章(よしのり)理事長は、過去の歴史問題に関する自身の見解として「若い世代が心情的に近くなったとしても、歴史問題という不安定要素がなくなるわけではない。日本政府の次元では、韓国政府の努力に応える措置を講じるべきだと思う」と語った。
韓国政府の努力も継続する必要がある。政権ごとに過去の歴史に対する評価が変わらないようにするため、「社会的協議機構」を設置すべきとの意見もある。韓国国内の政治状況とは切り離された「対日外交」の枠組みを整える必要があるとの指摘だ。
韓国外務省によると、毎年、国連など国際社会で賛否を問う決議案において、日韓両国の意見は90%以上が一致している。日本と戦略的な利害関係が重なる点が多いことから、日韓関係が国際的な協力の場で活かされれば、「国際社会の公共財」となり得るというのが専門家の見方だ。また、日韓両国が国内で直面している国家的課題もほぼ共通しており、協力による相乗効果が期待できるとの声もある。
また、大学・高校などの教育機関による歴史交流、文化・スポーツ交流、地域の再生・活性化、防災・災害対応などの分野での協力が期待されている。経済・産業分野ではすでに幅広い協力が進められている。韓国LGと日本のホンダは、アメリカ・オハイオ州にリチウム電池の合弁工場を設立した。ほかにも、両国の企業はパナマでモノレール建設、インドネシアでLNG(液化天然ガス)関連プロジェクトなどにおいても協力している。
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