北朝鮮は、トランプ米大統領の2期目就任(1月20日)の2日後にあたる1月22日、最高人民会議(国会)を開催する。この会議は、新政権発足直後の重要なタイミングに開かれることから、北朝鮮の新たな対外政策や対米メッセージが明らかにされる可能性があると注目されている。
毎年初の最高人民会議では、前年度の国家予算決算や新年度予算案、法律の改正、組織の問題などが議題となる。昨年12月に開かれた朝鮮労働党中央委員会総会の決定を国家機関で実行するための後続措置が議論される場でもある。
今回の会議では、昨年12月の最高人民会議常任委員会で予告された「社会主義憲法の一部条文修正」が議題となる。この修正には、北朝鮮が主張する「南北2国家」論に関連する内容が盛り込まれる可能性があるとみられている。キム・ジョンウン(金正恩)総書記は昨年1月の最高人民会議で、統一表現の削除や領土条項の新設を含む「敵対的な2国家関係」の宣言を背景に、社会主義憲法の改正を指示したが、その具体的な内容は未公表のままとなっている。
さらに、北朝鮮は昨年10月の最高人民会議開催後、京義線や東海線の鉄道と道路の爆破を発表し、それが「大韓民国を徹底的な敵対国家として規定する共和国憲法の要求」に基づくと述べた。この発表は、すでに「敵対的2国家論」を反映した憲法改正が実施された可能性を示唆している。
今回の最高人民会議では、キム総書記が施政演説で新たな対外メッセージを発信する可能性も注目されている。キム総書記は2019年4月の最高人民会議で初めて施政演説に臨み、それ以来、ほぼ毎年重要な政策方針を提示してきた。特に2022年9月の会議では、新たな核戦力政策を発表し、大きな波紋を呼んだ。
一方で、北朝鮮は昨年12月の党中央委総会で「最強硬対米戦略」を掲げる方針を打ち出しており、この路線がしばらく続くとの見方もある。米新政権が明確な対北政策を打ち出すには数カ月を要することが一般的であるため、今回の会議で新しいメッセージが発表される可能性は低いとの分析もある。
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