2024 年 11月 27日 (水)
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本物もディープフェイクも性犯罪被害者の傷は同じ…なのに処罰は軽い韓国の事情

(c)news1

韓国でディープフェイク(虚偽映像物)技術を利用した性犯罪が多発するなか、事件の処罰レベルは6分の1程度に過ぎないことがわかった。技術の発展により、真偽の区別が難しいのに、被害者が受ける苦痛も同レベルだという。量刑基準(量刑を決める時に参考にするガイドライン)を引き上げるべきだという指摘も相次いでいる。

ディープフェイクとは人工知能をベースにした合成技術で、女性の顔や裸の写真を合成するなど性的搾取物の制作手段として悪用されている。警察庁によると、ディープフェイク関連犯罪で警察に検挙された人員は2021年79人から2023年100人に増えた。

ディープフェイク性犯罪事犯は毎年増えているが、処罰する量刑基準は法定刑に大きく及ばない状況だ。現行の「性暴力犯罪の処罰などに関する法律(性暴力法)」によると、ディープフェイク映像物などを制作した場合、5年以下の懲役または5000万ウォン以下(1ウォン=約0.11円)の罰金に処される。金銭的利益を目的に流布した場合、7年以下の懲役に処することができる。

半面、量刑基準では「制作」の場合、未成年者を合成した場合でなければ、基本は6カ月から最大1年6カ月まで。加重要素を反映しても最大2年6カ月で、法定刑の半分に過ぎない。営利目的の頒布の場合も最大4年だ。

違法撮影物など実際の性的搾取物犯罪と比較すると、格差がさらに広がる。児童・青少年性的搾取物制作の場合、基本5~9年、加重時に最大13年まで宣告できる。成人対象の違法撮影物制作は基本8カ月~2年、加重する場合最大3年だ。営利目的で頒布する場合、8年まで宣告できるようになっている。

法曹界では、ディープフェイク性犯罪の量刑基準がこのように低いのは「虚偽映像物」という認識が作用した結果と見ている。ある弁護士は「虚偽映像物関連規定が作られた時には『直接撮影するよりは軽微ではないか』という認識があった。今も裁判所や捜査機関はそのように見る傾向がある。だが被害者が抱く感情は実際の映像物と少しも違わない」と批判した。

最近、人工知能技術が飛躍的に発展し、ディープフェイク合成物も実際と区別が難しいほど巧妙になった。声まで複製する「ディープボイス」まで商用化されており、違法合成物による被害は急速に拡大するものと思われる。

このため、専門家はディープフェイクなど虚偽または仮想合成物も現実の性犯罪と同様の水準で量刑を強化すべきだと指摘する。

韓国刑事法務政策研究院のチョ・ジュンテク研究委員は「ディープフェイク性犯罪は実際に接触がなかったとしても個人の人格を抹殺できる犯罪だ。法定刑があっても量刑基準に基づかざるを得ず、全般的な上方修正が必要だ」と話した。

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