
韓国・仁川の桂陽山(ケヤンサン)では昨年、夏の厄介者「ラブバグ(Plecia longiforceps)」が視界を遮るほど大量発生した。だが今年は個体数が劇的に減少している。6月29日午前、現地を訪れると、登山客の行く手を阻むようにうごめいていた1年前の面影はなく、緑豊かな裏山の姿を取り戻していた。登山客からは、今年は全く不便を感じずに登ることができたとの声が相次いでいる。
登山道を上ってもラブバグの姿はほとんど見られず、代わりに目についたのは各所に設置された防除装置だった。
黄色い粘着ロールトラップや虫捕り器が木々の間に張り巡らされ、周辺には散水ドローンによる退治措置を知らせる区庁の横断幕も掲げられていた。
大量発生時にラブバグがじゅうたんのように敷き詰められて物議を醸した山頂付近の東屋も、今年は登山客が快適に休憩できる状態になっており、標高395メートルの山頂からも市内がはっきりと見渡せた。
現地を調査する国立山林科学院のパク・ヨンファン林業研究士は、体感としてラブバグは前年に比べ70〜80%ほど減少したと話す。
個体数が激減した背景には、自治体による早期の徹底した防疫体制がある。仁川市桂陽区は専門業者と連携し、粘着トラップを1日1回交換するなど現場での対応を継続してきた。
さらに山頂付近では、人には安全でラブバグにのみ毒性を示す菌類や植物抽出物を用いた、環境配慮型の防除剤の効果を検証する実験も進められている。
2026年にラブバグが目立って減少した理由について、パク研究士は複合的な要因によるものだと分析する。自治体が散水やトラップ設置などの防除作業を重ねたことに加え、虫同士の「種内競争」も影響しているという。
このラブバグは2022年頃から本格的に韓国国内へ流入し、環境に適応する初期段階で大量の子孫を残したため前年は爆発的に増えたが、限られた餌資源を奪い合うことで自然と個体数が落ち着いたとの見方を示した。
一方で、パク研究士はラブバグが厳しい冬を越えて韓国の環境にほぼ定着しつつある段階だとも指摘する。わずか1年で大量発生の悪夢からは脱したものの、今後は完全な駆除を目指すのではなく、生態系の一部としていかに賢く共存していくかという新たな対応が問われている。
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