
北朝鮮が2025年に進水させた5000トン級(崔賢級)新型多目的駆逐艦の1番艦「崔賢」号を最近に就役させたのは、「海軍の核武装化」と作戦海域の拡大を内外に誇示する意図があるとの分析が出た。
ホン・ミン統一研究院上級研究委員は最近発表した「北朝鮮新型多目的駆逐艦『崔賢』号就役と戦略的含意」報告書で、崔賢号について「超音速巡航ミサイル、戦略巡航ミサイル、戦術弾道ミサイルなど精密打撃手段を単一プラットフォームに統合した攻撃型艦艇であり、海軍核武装化の象徴」と評価した。
北朝鮮は6月23日、南浦港でキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が出席する中、崔賢号の就役式を開いた。崔賢号は2025年4月に南浦造船所で進水した後、約1年2カ月間の作戦遂行能力評価を経て、人民軍海軍西海艦隊に配属された。
ホン・ミン氏は、崔賢号の就役が2月の第9回朝鮮労働党大会と、6月20~22日に開かれた党中央委員会総会の直後にあった点を挙げ、北朝鮮が国防力発展計画の成果を誇示しようとする意図が込められていると分析した。
ホン・ミン氏は、キム総書記が就役式の祝賀演説で「さまざまな系列の駆逐艦、巡洋艦の建造に克服不可能な技術的障壁はもはや存在しない」と述べたことについて、北朝鮮が後続艦建造のための標準化されたプラットフォームを確保したという自信を示したものだと解釈した。
ホン・ミン氏は「後続艦がすでに建造に入っており、毎年2隻ずつ建造できる『標準化されたプラットフォーム・ガイドライン』を確保したという意味だ。今後、これを遠距離への戦力投射に転換しようとする意図も込められている」と分析した。キム総書記が「海軍が沿岸防御の武力として存在していた時代は過去のものとなった」と発言したことも、北朝鮮が海軍の任務を「防御」から戦略打撃と遠海作戦へ拡大する意味だと解釈した。
さらに、キム総書記が海軍を「戦略的手段を備えた軍種」と規定した点を挙げ、北朝鮮が崔賢号を「通常戦闘艦ではなく、海軍の『核戦略プラットフォーム』として浮き彫りにしようとする意図」だと評価した。核ミサイル搭載が可能な5000トン級駆逐艦が、海軍力強化の一要因ではなく、中心軸になる可能性があるということだ。ただ、ホン・ミン氏は「近海・遠洋での経験が不足しているだけに、補給艦や航空援護など関連インフラの構築が先行しなければならない」と指摘した。
ホン・ミン氏はまた、キム総書記が崔賢号に与えた「巡視と先制構築」任務について、今後、日韓米戦力が活動する海域と基地を狙った作戦を北朝鮮が念頭に置いていることを示唆するとみた。西海北方限界線(NLL)や韓米艦艇の活動海域で存在感を示したり、日韓米の基地を射程に収める戦略巡航ミサイルのプラットフォームとして活用したりする可能性があるということだ。
ホン・ミン氏は、崔賢号と後続駆逐艦が戦力化されれば、移動式の海上・水中核投射プラットフォームが増え、韓米の監視・ミサイル防衛負担が大きくなり、有事には米国の増援戦力展開にも影響を与え得ると見通した。
ただ、北朝鮮が大型艦艇を運用する海軍基地インフラをいつ構築するかが焦点になると予想した。キム総書記も就役式で、大型戦闘艦を係留する基地が不足している現実を「今の心配」であり「幸せな悩み」と言及した。
ホン・ミン氏はこれについて「大型艦を持つほど成長したという自信と、インフラ不足という現実を同時に認めたものだ。艦艇建造の速度と基地インフラ構築の間の速度不均衡が、北朝鮮海軍近代化の核心的な変数だ」と診断した。
ホン・ミン氏は、5000トン級駆逐艦の後続戦力化は速やかに進むと見通した。2番艦「姜健」号は2026年10月以前に就役する可能性があり、3番艦も党創建記念日である10月10日を目標に建造中だと分析した。
ただ、「建造品質と整備、基地インフラ、乗組員養成、多種兵器の統合運用など、解決すべき課題は少なくない」とし、北朝鮮の「海上核戦力」は短期間で完成するよりも「段階的・部分的に現実化する可能性が大きい」と予想した。
(c)news1