
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、上半期の主要政策を議論・議決する全員会議で、韓国と米国に対する敵対政策を継続する方針を再確認し、核武力強化路線を正当化した。最近、米国とイランの終戦ムードの中で、トランプ大統領の次の視線が「北朝鮮」に向かう可能性が高まり、2026年下半期に米朝対話が再開されるとの観測も出ていた。しかし、キム総書記の発言はこうした期待感に冷や水を浴びせたとの見方が強まっている。
ただ、一部の専門家は、北朝鮮の強硬路線が米国・韓国との接触を一切拒む意味なのか、それとも万一の米国との交渉を念頭に置いた戦略的な動きなのか、見極める必要があると指摘している。交渉力を高めるための意思表示である可能性もあるという。
キム総書記は20~22日に開かれた党中央委員会第9期第2回全員会議で「韓国を最も敵対的な国家として公認したわが党の対敵闘争原則を徹底して堅持しなければならない」と述べた。キム総書記は3月の最高人民会議施政演説で韓国を「最も敵対的な国家」と規定しており、全員会議でもこの立場を改めて確認した形だ。
また、韓国の原子力潜水艦導入に向けた韓米間の協力を批判し、自国の核開発政策は外部の脅威に対抗するためのものだと主張した。キム総書記は「核武力を絶えず拡大強化し、核保有国としての地位を徹底して行使することこそ、予測不可能な国際軍事政治情勢に自信を持って対処できる最も正確で唯一の道だ。有力な国防資産をさらに増やしていくための事業を引き続き止めることなく、強力に実行しなければならない」と求めた。
そのうえで、韓国と接する「南部国境」を要塞化する断絶作業を徹底して完了するよう指示し、1万トン級の「戦略誘導弾巡洋艦」という新たな武器体系の建造事業の推進も命じた。
最近、韓米両国の首脳が北朝鮮に向けて「対話のジェスチャー」を送ったにもかかわらず、北朝鮮は依然として「対南敵対政策」と「核武力強化路線」を維持する意思を固持している。このため、直ちに局面が変わる可能性は小さいとみられる。特に、北朝鮮が6月末に開く朝鮮労働党全員会議は、上半期の政策成果を総括し、下半期の方向性を議論する場であることから、こうした基調は少なくとも2026年末まで続くと予想される。
トランプ大統領は13日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」のアカウントに、キム総書記と並んで歩く写真を掲載した。第1回米朝首脳会談直後だった2018年6月12日、2人が会談場所のシンガポール・セントーサ島にあるカペラホテルの庭を散策する様子だった。
特別な説明はなかったが、イランとの終戦了解覚書締結を控えた時点で、トランプ大統領が「次の交渉相手は北朝鮮」というメッセージを示唆したのではないかとの解釈が出た。特に、トランプ大統領が11月の米国中間選挙で勝利するため、世論転換を狙って米朝首脳会談という大規模イベントを推進するとの分析もある。
南北関係が前例のないほど冷え込んでいる状況で、米朝対話再開への期待感を示してきた韓国政府の立場からすれば、トランプ大統領の無言のメッセージが北朝鮮との対話再開への期待を高める要因だったことは事実だ。
韓国のチョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相は22日、トランプ大統領がSNSに投稿した背景について、「トランプ大統領の誕生日を機に、静かにキム総書記の親書が届いた可能性がある」という一部の解釈に重みを置いた。トランプ大統領がキム総書記から親書を受け取り、それへの応答として投稿した可能性があるということだ。チョン・ドンヨン氏は「いずれにせよ、再び米朝接触と対話が稼働することを望む気持ちだ」と付け加えた。
イ・ジェミョン(李在明)大統領も、G7首脳会議を機にトランプ大統領と北朝鮮の核問題について議論したと明らかにした。イ・ジェミョン大統領は19日のメディアブリーフィングで、トランプ大統領が先に「北朝鮮問題に関心を向けるべき時が来た」と述べ、米朝対話への関心を示したと伝えた。
イ・ジェミョン大統領も北朝鮮核問題の「段階的解決法」に言及し、「米国は北朝鮮と対話できる唯一の相手だ。北朝鮮が共感できる現実的な案を出してほしい」とトランプ大統領に答えたと紹介した。
イ・ジェミョン大統領がトランプ大統領との対話を帰国直後にメディアを通じて公開したのは、それだけ韓米首脳が北朝鮮と会って交渉したい意思があることを間接的に示す意図と受け止められた。
しかし、キム総書記はこれに応答せず、今回の全員会議を通じてむしろ韓国と米国への非難の水位を高めた。韓米間の協力が朝鮮半島の安全保障に大きな脅威となり、反米傾向の友好国と連帯する必要があるとの言及を通じ、北朝鮮が「陣営」を離れ、独自に「強対強」路線から抜け出す可能性はないことを示唆した。
韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「キム総書記は今回の全員会議で、当面は朝鮮半島の緊張を緩和したり対話ムードを形成したりするよりも、米国をはじめとする西側との対決を強化し、自分たちの核保有国としての地位を認めない相手に対しては正面突破するという意思を明らかにした」と指摘した。
ただ、2026年に入り、キム総書記と北朝鮮当局が核保有国としての地位をたびたび強調し、積極的に対米メッセージを発していることには、布石を打つ意図が込められているとの解釈もある。今後、米朝間の核交渉が再開される場合、少しでも有利な位置を先取りするための「戦略的無関心」である可能性があるという説明だ。
実際にキム総書記は2月の朝鮮労働党第9回大会で、米国が自国に対する敵対政策を撤回し、核保有国としての立場を認めれば、いつでも対話に出られない理由はないとの立場を明らかにしたこともある。
韓国・北韓大学院大学のヤン・ムジン碩座教授は「北朝鮮は米朝交渉が再開される場合、非核化は絶対に不可能だと明らかにしてきた。今回の全員会議のメッセージも、米朝首脳会談を核軍縮交渉の枠組みに転換するための意図に見える」と述べた。
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