
韓国の半導体大手、SKハイニックスが社員採用における学歴制限の全面撤廃を発表した。これを機に、30年前から「開かれた採用」を先駆けて導入してきたサムスングループの成果にあらためて注目が集まっている。出身校や地域、国籍に縛られない能力主義の人事制度は、現在のサムスンの成長を支える基盤となっただけでなく、韓国の企業文化全体にも大きな変革をもたらしている。
SKハイニックスは今月17日、随時採用の開始にあたり、設計や研究開発(R&D)、ITなどの主要職種で学歴に関係なく応募できる仕組みを整えた。こうした動きのモデルとなったのがサムスンだ。同グループは1995年、公募採用から学歴、国籍、性別、年齢などの要件を排除する画期的な制度を導入した。社内では今や、出身地や卒業大学を尋ねないことが不文律として定着している。
実際、専門大学の出身者が組織のリーダーへ成長した例や、名門大以外の出身者が優れた業績によって異例の特別昇進を果たしたケースも少なくない。最近5年間だけでも、高卒・専門大卒の公募応募者は数千人に達している。こうした人材は、サムスン電子の半導体AIファクトリー構築やスマートフォン開発の最前線、サムスンディスプレイの世界初となるフォルダブル(折りたたみ)ディスプレイ開発チームなど、主要各社の重要部門で第一線として活躍している。
サムスンは1957年に韓国で初めて新入社員の公募採用を導入し、2026年で70年目を迎えた。1970年代のオイルショックや2000年代の金融危機など、激しい経済危機に直面した際も定期公募を継続し、若者への安定した雇用機会を提供してきた。現在、韓国の4大財閥の中で定期公募制度を維持しているのはサムスンのみとなっている。
同グループはさらに、大卒女性の公募枠新設や、独自の職務適性検査(GSAT)の開発など、採用制度の刷新を主導してきた。GSATはその後、現代自動車やLGなど他の主要企業が独自の人・適性検査を導入するきっかけとなり、採用市場全体の公正化を後押しした。
近年は、職級の統廃合によるフラットな組織文化の醸成や、昇進に必要な在籍年数の廃止なども進めている。サムスンが根付かせた「学閥より能力」という原則は、SKハイニックスの今回の決定に留まらず、韓国産業界全体の標準へと進化を続けている。
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