
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、上半期の総括のために開いた党総会を機に、党の綱紀・監察ラインで大規模な人事に踏み切った。軍幹部の汚職疑惑を公開的に取り上げたのに続き、組織指導部の責任者を任命から4カ月で交代させ、幹部の綱紀引き締めに再び力を入れている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞によると、北朝鮮は20日から3日間開いた党中央委員会第9期第2回総会拡大会議で、党の綱紀問題を担う組織書記兼組織指導部長を交代させる人事を実施した。
2月の第9回労働党大会で党組織部長・組織書記に任命されたキム・ジェリョン(金才龍)氏は、すべての職から解任された。キム・ジェリョン氏は党の最高意思決定機関である政治局常務委員会委員からも外れ、すべての役職を退いたとみられる。
新たな組織担当にはチョ・ヨンウォン(趙甬元)氏が任命された。チョ・ヨンウォン氏はキム・ジェリョン氏の前任者だった人物で、2月の党大会と3月の最高人民会議で、最高人民会議常任委員長と、国務委員会で第2位の序列である国務委員会第1副委員長に移ったばかり。約3カ月で、再び党組織事業の総責任者に復帰したことになる。
党組織指導部は、党幹部の人事と検閲を担当する北朝鮮権力の重要部署で、組織書記が関連業務を総括し、キム総書記に直接報告する役割を担う。組織指導部長は実務を総括するポストだが、キム総書記の執権期には通常、同じ人物が二つの職を兼ねてきた。
今回の人事は、キム総書記が執権後、継続的に強調してきた党の綱紀確立と汚職根絶の基調に関連したものだ。労働新聞はこの日、朝鮮人民軍総政治局組織副局長のパク・ヒチョル少将に汚職疑惑があり、立件されたと明らかにした。北朝鮮が総会報道で特定の軍幹部の汚職疑惑を実名で公開するのは異例で、実名を挙げることで意図的なメッセージを送ったとの見方が出ている。
軍総政治局は軍令ではなく政治事業を担当する組織。軍の組織副局長も幹部の綱紀問題を担う立場である点を踏まえると、労働新聞の報道は、党内の政治事業に関する「重大な問題」が発生したとして、全国的に強力な警告を発する効果を狙ったものとみられる。
労働新聞は同日の報道で、一部の市・郡単位の事業過程でも「党の意図と食い違う形で表れた偏向が批判・総括された」と指摘し、行政上の問題点もあわせて取り上げた。
北朝鮮はここ数年、総会や党大会などで「権勢と官僚主義、汚職の根絶」を繰り返し強調してきた。経済発展と体制再整備の過程で、幹部の不正や権限乱用が続いているためとみられる。
一部では、キム総書記の執権前からまん延していた幹部の汚職慣行が、依然として十分に解決されていないとの見方もある。
キム総書記は2020年、平壌総合病院の建設過程で工事資材の流用問題が浮上すると関連幹部を公開批判し、2021年には新型コロナウイルスの流行を「重大事件」と規定して防疫幹部を解任した。2022年には国家非常防疫司令部の幹部らが医薬品供給過程で職務を怠ったとして、党中央委員会政治局非常協議会で問責した。
また2024年には、地方工業工場建設や水害復旧事業の推進過程で一部地域幹部の無責任な事業態度を問題視し、2025年には党幹部の飲酒・接待、権限乱用の事例に触れ、「人民の上に君臨する現象」を強く批判した。
特に今回、「キム総書記の秘書室長」と呼ばれるチョ・ヨンウォン氏が再び組織書記と組織部長に復帰したことは、キム総書記が汚職と綱紀問題を自ら管理する意思を示す人事だとの分析が出ている。最側近に再び組織指導部を任せ、党・軍・内閣全般への検閲と統制を強める狙いがあるという。
韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「官僚と軍部の汚職、指示不履行が、キム総書記にとって我慢できない水準に達した可能性を示唆する。キム・ジョンウン体制では国家機構である最高人民会議の序列や格式などは、党の必要、すなわち人事や統制に比べてまったく重要ではないことを露骨に示し、党中心統治を極大化した措置でもある」と分析した。
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