
韓国で高齢ドライバーによる交通事故が増加する一方で、運転免許の自主返納率は依然として低水準にとどまっている。移動の自由を保障しながら事故を防ぐ対策の構築が急務と指摘されている。
2025年11月、京畿道・富川市の市場で60代後半のドライバーが運転する1トントラックが売り台に突っ込み、4人が死亡、18人が負傷する事故が発生した。警察は原因をペダルの踏み間違いと判断した。
また2026年3月には京畿道・水原市の小学校付近で、80代のドライバーがセンターラインを越え、9台が絡む事故が起き、少なくとも3人が負傷した。ドライバーはブレーキとアクセルを踏み間違えたとみられている。
警察庁と韓国道路交通公団によると、2025年の65歳以上の高齢ドライバーによる事故件数は4万5873件で、前年より8.3%増加した。死亡者数も843人となり、10.8%増えた。
背景には高齢化の進行がある。2025年の高齢人口は1051万人で前年より5.8%増加し、このうち運転免許保有者は563万人と8.9%増えた。
政府は事故防止策として、免許を自主返納した高齢者に特典を与える制度を導入しているが、2020年から2024年までの平均返納率は2.3%にとどまっている。
また、75歳以上に対する3年ごとの免許更新と交通安全教育の義務化も進められているが、対象年齢を70歳へ引き下げるべきだとの意見も出ている。
韓国道路交通公団は、70歳から認知能力の低下が見られるとして、免許管理対象を70歳以上に拡大する必要があるとの研究結果を示した。
さらに、従来の視力中心の適性検査から、認知機能を重視した科学的評価へ転換し、生活圏内に限定した条件付き運転免許の導入も提案されている。
専門家は「高齢者の移動権を守りつつ、実効性のある対策を段階的に進める必要がある」と指摘し、夜間運転の制限や地域ごとの制度導入など現実的な対応策を検討すべきだとしている。
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