
少子高齢化と人口減少で成長の勢いが弱まる中、韓国経済の中核を担う中小企業の人工知能(AI)活用が主要国に比べ大きく立ち遅れていることが分かった。生産性回復に向けた重要な手段とされるAI導入の遅れが、潜在成長率を押し下げる構造的な弱さとして浮かび上がっている。
とりわけ中小企業は全雇用の80%以上を支えているにもかかわらず、AI活用率は30%台にとどまり、ドイツや英国など主要国との差が目立つ。政府はAIの拡散が避けられない流れとみて、産業全般での導入を後押しするとともに、若年層の雇用減少などの影響を抑えるため、職業訓練や転職支援策の整備を急ぐ方針だ。
経済協力開発機構(OECD)によると、韓国の中小企業のAI活用率は31%だった。ドイツの51%、アイルランドの45%、オーストリアの42%、英国の34.7%を下回る水準である。全雇用の8割超を占める中小企業でAI活用が低迷しているため、生産性全体への影響も大きいと指摘されている。
AIを活用していない中小企業の53%は、従業員の力量不足を理由に挙げた。半数を超える水準だが、こうした企業でAI教育を実施している割合は42%にとどまった。AI利用のガイドラインを整備した企業も26.2%にすぎなかった。
OECDは、AI導入が進まない背景として、韓国の成人学習参加率の低さも挙げた。韓国の成人学習参加率は13%で、OECD加盟国の中で最も低い。フィンランドの57.8%、ドイツの53.7%、フランスの45.1%、英国の37.4%、オランダの52.3%を大きく下回り、平均の40%にも届いていない。
韓国では超高齢社会への移行が進み、AI導入を通じた労働生産性の引き上げが必要だとの分析が出ている。潜在成長率の低下傾向が続く中、再浮上には生産性の改善が欠かせないという見方だ。
2025年の合計特殊出生率は0.8で、2年連続で持ち直したものの、65歳以上の高齢人口は1000万人を超えた後も増え続け、2070年には全人口の半分近くに達すると見込まれている。これに伴い、2025年に3591万2000人だった生産年齢人口は、2072年には1657万5000人へ減少すると予想される。
韓国の潜在成長率は、人口減少、投資縮小、生産性停滞といった構造要因のため、2030年代には1%前後、2040年代には0%台へ低下すると見込まれている。5年ごとに1ポイントずつ下がっているとの分析もあり、この流れが続けば2030年にはマイナス0.1%まで落ち込む可能性も指摘されている。
こうした構造変化の中で、AIは生産性向上の中核手段とみなされている。AIは反復的で単純な業務を自動化し、人の働きを補いながら業務効率と生産性を高めることができるためだ。OECDは、AIについて「業務効率を高める要因」であり、「コスト削減と意思決定の改善を通じて産業全般に波及効果をもたらす汎用技術」と評価した。
AI導入によって、総要素生産性(TFP)は年0.25~0.6ポイント、労働生産性は年0.4~0.9ポイント上昇するとOECDは推計している。
ただ、AIの拡散は雇用構造の再編も伴う。国会予算政策処は、生成AIの影響を受けやすい職種を中心に、若年雇用の鈍化が表れていると分析した。会計、経理、顧客対応、コンテンツ制作など一部の職務では、雇用減少圧力が強まる可能性があるという。
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