2026 年 4月 22日 (水)
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韓国、石油化学業界で「不可抗力」宣言拡大…供給網不安が深刻化

ハンファトータルエナジーズの大山工場の全景(c)news1

中東情勢の不安定化が長期化する中、韓国の石油化学業界で「不可抗力(フォースマジュール)」宣言が相次いでいる。政府はナフサ確保に向けた緊急対応に乗り出しているが、現場への供給には時間がかかり、生産への影響はすでに現実化している。業界は設備稼働を最低限に抑えて対応しているものの、収益悪化と需給不安が重なり、状況は厳しさを増している。

業界によると、麗川NCCに続き、ハンファトータルエナジーズもパラキシレン(PX)の供給について不可抗力を宣言し、供給支障が広がっている。

不可抗力は外部要因により契約履行が困難な場合、法的責任を免れる措置であり、企業が正常な供給が難しい状況を公式に認めた形だ。

ハンファトータルエナジーズは、今回のPX生産の支障は一時的で、6月には供給を100%回復できるとしている。5月に韓国へ到着可能な追加原料11万トンを緊急確保し、この原料で生産した製品は国内向けに優先供給する方針だ。PX生産は5月に一時85%まで低下するが、6月には全面回復すると見込まれている。

ただ、中東情勢が長引くほど不安は拡大する。韓国の石油化学産業はナフサの大半を輸入に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過するためだ。この海域の物流不安が続けば、原料導入の遅れがそのまま生産支障につながる。

主要企業は現在、在庫を活用して対応している。平均1~2カ月分の原料をもとに稼働率を50~60%に引き下げたり、定期補修を前倒ししたりしている。LG化学は麗水NCC第2工場の稼働を停止し、ロッテケミカルは大規模補修日程を3週間前倒しした。麗川NCCも一部工程を停止し、生産量を調整している。

政府はカザフスタンやオマーン、サウジアラビア、カタールなどから年末までに最大210万トンのナフサを確保し、価格差の50%を支援する対策を打ち出した。ただ、現場では政策効果を実感するまで時間がかかるとの見方が強い。確保した物量が韓国に到着するまで少なくとも40日以上を要し、その後の企業への配分や投入にも追加の時間が必要なためだ。

さらに、こうした危機の中で産業構造の再編も同時に進めなければならない課題がある。政府は特別法施行令を通じて許認可や環境規制、公正取引規制の特例を設け、再編を加速させようとしている。中国の自給率上昇により、従来の輸入原料依存型の生産・輸出モデルが限界に近づいているとの認識が背景にある。

しかし現場での合意は進んでいない。主要産業団地では大山と麗水で一部案件が動いているものの、他地域では議論が停滞している。蔚山ではS-OILの大規模設備増設「シャヒン・プロジェクト」が大きな変数となり、既存企業との利害調整が難航している。

LG化学とGSカルテックスによる合弁法人設立の協議も、グローバル株主間の利害調整に時間を要し、進展が鈍い。原料確保と稼働維持が最優先となる中、事業再編は必要性が認識されながらも、現実的には後回しになりがちな状況だ。

(c)news1

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