
今月31日に予定されるトランプ米大統領の訪中を前に、中国が北朝鮮との鉄道・航空路線を再開するなど、関係改善に動き出している。トランプ大統領が北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記との会談に関心を示している中、中国が北朝鮮への影響力を高め、対米交渉のカードとして活用しようとしているとの見方が出ている。
中国は12日、新型コロナウイルスの流行で運行が中断されていた北京―平壌間の国際旅客列車を約6年ぶりに再開した。この列車は1954年に開通して以降、中朝交流の象徴とされ、2013年からは毎日運行され、1日平均約250人が利用していた。
さらに中国の国営航空会社である中国国際航空は、今月30日から北京―平壌間の直行便を同じく約6年ぶりに再開すると発表した。
こうした交通手段の再開は、キム総書記が強い関心を示している北朝鮮の観光産業活性化にも追い風になるとみられている。北朝鮮は昨年から、新型コロナで閉鎖していた国境を徐々に開き、ロシアや中国など外国人向けの観光商品を積極的に宣伝してきたが、インフラなどの制約が課題となっていた。
最大の貿易相手国である中国との交通網が拡大することで、観光や貿易など経済協力が今後さらに強化される可能性がある。
◆中国、韓中首脳会談後に不満示した北朝鮮を「なだめ」
両国が昨年9月の中朝首脳会談から約6カ月を経て、ようやく停滞していた交流の正常化に踏み出した背景には、中国側の積極的な意図があるとみられる。
ロシアのウクライナ侵攻以降、中朝関係は一時疎遠になったが、昨年9月にキム総書記が北京を訪問し、習近平国家主席と会談したことで関係改善が期待されていた。
しかしその後も両国関係は思うように進展せず、ぎくしゃくした状態が続いた。背景には、今年1月にイ・ジェミョン(李在明)韓国大統領と習主席が首脳会談を開いて接近する動きを見せたことに対し、北朝鮮が不満を示したことがあるとされる。
当時、イ・ジェミョン大統領は習主席との会談で韓国政府の対北朝鮮政策構想を説明し、中国の建設的な役割を求めた。これに対し北朝鮮は後にこれを「お願い外交」と皮肉るなど、反発を示した。
また今年初め、キム総書記が各国首脳に送った新年の祝電でも、北朝鮮メディアは習主席の名前を挙げず、役職のみ簡単に言及した。これも中国への不満を遠回しに示したものとの見方が出ている。
こうした中、中国外務省の郭嘉昆・副報道局長は10日の記者会見で北京―平壌旅客列車再開に触れ、「中国と北朝鮮は友好的な隣国であり、定期旅客列車の運行は人的往来の利便性向上に重要な意義を持つ」と述べ、交流拡大への支持を表明した。
◆米中首脳会談前に朝鮮半島カードを意識か
中国がこの時期に中朝関係を強調し始めた背景には、近く予定される米中首脳会談を前に、朝鮮半島問題における自らの影響力を誇示する狙いがあるとの分析もある。特にトランプ大統領は今回の訪中を契機に、米朝首脳会談の可能性に言及し続けている。
トランプ大統領は13日(現地時間)、ホワイトハウスを訪問した韓国のキム・ミンソク(金民錫)首相との会談でも「キム総書記が米国または私との対話を望んでいるのか気になる」と述べるなど、米朝対話への強い関心を示したとされる。
北朝鮮問題の専門家は「現在の中朝関係は、完全に遠いわけでも完全に近いわけでもない戦略的関係だ」と指摘。「米国の動きに応じて、双方が距離を調整しながら関係を管理している」と分析している。
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