年間アーカイブ 2025
“眉・鼻・ひげ”徹底処理で「自分にも透明感」 [KWレポート] 韓国コスメで挑む“おじさん卒業” (5)
施術が進むにつれ、米村耕一さん(52)の顔つきは確かにスッキリしてきた。全体に黒ずんでいたのが少し取れ、潤いが生じているのがはっきりわかる。
そうなると目立ってくるのが、頬やもみあげ、鼻の下、あごの付近の黒い模様、つまり、ひげだ。これを上手に処理しない限り、せっかくの施術も中途半端なものになってしまう。
どの部分に脱毛を施せば、最大限の「若返り効果」を得られるのか――。ここで提案されたのが「左右の頬を中心とした付近」の脱毛だ。
重信さんは「CUBE DUO(キューブ・デュオ)」という脱毛機を手元に引き寄せた。この脱毛機は「インテンス・パルス・ライト(Intense Pulsed Light、IPL)」と呼ばれる広範囲の波長を持つ光を発する。毛の黒い部分(メラニン)に光エネルギーが吸収され、これが熱エネルギーに変換されて、毛根や毛乳頭、バルジ領域(毛を生成する細胞が存在する場所)の組織の働きを弱め、毛の再生力を弱めるという仕組みだ。
重信さんは光を発する「ハンドピース」を持ち、米村さんの顔に近づけた。「これは0度まで温度を下げ、冷やしながら熱を加えていきます。ピカっとしますが、すぐに終わります。ではいきますね」
最初の閃光が走った。「どうですか?」。こう声を掛けられ、米村さんは特に問題のない様子で「大丈夫です」と答えた。
片方だけで17回。閃光が発せられるたびに、米村さんは顔をややしかめる。スイッチの「カチ、カチ」という音とともに閃光が走る。
米村さんはあまり痛みを訴えなかった。その様子を確認した重信さんは「ついでにお鼻もやっちゃいましょう」と勧めた。そのまま鼻を目掛けて8回、「カチ、カチ」という音がする。そのたび、米村さんは顔をしかめた。「ちょっと痛いです」
この施術は、あわせて2分間もかからなかった。
その後、顔のマッサージに入る。重信さんは米村さんの顔にローションをつけ、指やこぶしで顔全体をほぐした。その後、フェイシャルスポンジでローションをふき取る。
この時点でかなり肌は白くなっている。
◇余分な毛
次はまゆ毛だ。米村さんのまゆ毛は一部が「おじいさん」のように長く伸びている。広範囲にわたって小さな毛が生えており、「顔が汚れて見える」原因の一つになっている。
長く伸びた部分はカット、上下の毛は「ワックス」で剥がすことにした。
温められた「ハードワックス」がまゆ毛の上下、眉間に塗られた。「ちょっと熱い」。米村さんは小さく声を上げた。
少し時間がたち、ワックスが固まったころを見計らって、一気にはがす。すると、毛がごっそり取れた。「思ったよりも痛くない」。米村さんは安心した表情だ。剥がされた箇所を、重信さんが指で押さえて痛みを和らげている。
ハードワックスは粘度が高く、キャッチ力も強い。軟毛・剛毛を問わずしっかり取れる人気のワックスだ。
同じ作業を2度、繰り返す。それでも残った細かい毛は毛抜きで1本1本抜いた。さらにハサミでまゆ毛の長さを整える。すると、米村さんの印象は大きく変わった。
まゆ毛がすっきりしたあとは、鼻毛だ。男性の身だしなみで気になるのが、この鼻毛。エチケットとして、伸びっぱなしは避けたいところだ。
「鼻もやっちゃいましょう」。重信さんがさらりと提案し、米村さんの承諾を得たあと、ハードワックスをつけた木の棒を米村さんの鼻に突っ込んだ。かなりインパクトのある場面だった。
処理を終え、米村さんはすっきりした様子だった。「全く痛くないわけではなく、痛みを感じるいとまがない」
◇ビフォー・アフターのだいご味
毛を抜かれた箇所は熱を持っている。これを鎮めるために使うのが「シカ(CICA)」を配合したジェルだ。シカは、セリ科の植物であるツボクサの葉・茎から抽出される「ツボクサエキス」を主な成分とする。肌の炎症を鎮めて健康な状態へと整える抗炎症作用▽肌の赤みや不調をおさえる鎮静作用――などを期待できる。韓国コスメの定番だ。
ここに栄養成分である高麗人参やアロエを配合したジェルを、米村さんの顔に塗る。その後、目の部分を脱脂綿で保護し、鼻の穴と唇を除く顔全体をラップで覆う。「乾くと意味がない」ためだ。顔に栄養を入れながら、沈着させていくプロセスだ。
最後に冷タオルで全体を覆った。数分後、ラップを外し、脱脂綿を取り、再びフェイシャルスポンジで顔についた液体をふき取る。最後は保湿用のクリームを塗る。
これで、今回のスケジュールは終了となった。「お疲れ様でした」。重信さんにこう声をかけられ、米村さんに笑顔が戻った。
期待と不安を抱きながら、「アフター」の写真を撮影し、「ビフォー」と比較する。
「すごいかっこよくなりましたね」。重信さんの言葉に、米村さんも満足げな表情を浮かべた。
米村さんをよく知る筆者は、今回の施術によって▽肌がみずみずしくなった▽余計な毛が取り除かれ、顔全体がすっきりした▽目の開きが格段に良くなった――という点を実感した。
韓流スターのようですね――こう声をかけると、本人は「いや~」と照れた。
内面からの自信なのか、表情もかなり明るくなっていた。
「自分の肌と『透明感』という言葉があまりにも合わないと思いました。でも実際に施術を受けたら、確かに『透明感』が実感できましたね」
こんな感想を残して、米村さんは「銀座メンズサロンMATHIS」をあとにした。
(つづく)
(c)KOREA WAVE
“刺す美容”のリアル「多少痛くないと効果がない?」 [KWレポート] 韓国コスメで挑む“おじさん卒業” (4)
米村耕一さん(52)が施術室に入って、30分ほどが過ぎた。
室内の棚に保管されている米村さんのスマートフォンが数分置きに振動し、そのたびに静かな室内に響き渡る。「韓国の通信社の速報です。メディアのアプリを多く使っているので、こうやってニュース配信を振動で知らせてくるのです」
◇「スタンプ」の痛み
さっぱりした表情になった米村さんだが、やはり緊張は解けていない。エステティシャンの重信聡美さんの口から「アンプル(AMPOULE)」という言葉が出てきて、それがさらに強まったように思えた。
プロセスは、先述した「アンプルを使った施術」に移る。
重信さんが手に取った親指サイズの小瓶が「ヒト幹細胞培養液のアンプル」だ。蓋はアルミで覆われ、中には美容成分が入っている。「余分な添加物は入っていません。フレッシュなものですよ。一度開封してしまうと、使いっきりです」
角質が厚い肌にはアンプルは十分になじまない。だからこそ、その前段階で「ピーリング」のプロセスを挟むことで、余分な角質を取り、柔らかい肌に整えておく。
アンプルの蓋が開けられ、中に入った液体が容器に移された。その液体が刷毛ですくい取られ、米村さんの顔全体に広げられた。
そして、重信さんが縦長の器具を手にした。
ここから始まるのがマイクロニードル(極微細な針)を使って皮膚に極微細な穴を開ける「マイクロニードル・セラピー・システム(Microneedle Therapy System)」。「マイクロニードル・セラピー・システム(Microneedle Therapy System)」。スタンプを押すように多数のマイクロニードルを一度に突き刺す。ドイツ「Dermaroller GmbH」社の「ダーマスタンプ」が開発したものに韓国企業が改良を加え、より深くアンプルを浸透させるようにした。
「最初、ちょっと赤味が出るのですが、だんだん引いていきます。いきますね」
重信さんはこう口にすると、器具を指3本でつまみ、米村さんの眉間にスタンプを押しあてるようにマイクロニードルを刺した。リズムを刻むように、1回1秒弱、当てては離しを繰り返しながら、額の上を移動した。
「どうですか?チクチクします?」
「します」
「痛いですか?」
「痛いっていうほどではないですが、ちょっと痛い」
顔をしかめている。
「耐えられますか?弱めますか?」
こう聞かれ、米村さんは「耐えます」と苦笑いした。
顔全体にまんべんなく、器具を押し付けるように肌にマイクロニードルを突き刺す。チクリとするのか、米村さんは時々、顔をしかめる。特に目の周りと額は皮膚が薄いため、やや痛そうにしている。
重信さんも米村さんの“動揺”を和らげようと努めているようだ。「髪の毛よりも細いんです。針っていうほどでもないんですけど……」。こう言いながら、再びアンプルに入っていた美容液を塗る。
「さあ、もう一周行きますね」
こんな“掛け声”を聞いて、米村さんは「はぁっ」と、ため息をついた。
顔をしかめながら、つぶやいた。「美容液が顔に浸透している実感がありますね。多少痛くないと、何でも効果がないのかな……」
◇超音波振動?
次に施術室に持ち込まれたのは「ソニック」(超音波美顔機器)だ。毎秒200万回にも及ぶ超音波の振動を利用して、顔をマッサージする。それにより、毛穴深層部の汚れの除去▽新陳代謝の向上▽温熱効果による血行・新陳代謝の促進――をはかる。
「超音波は人には感知できないのです」。重信さんはこう口にしながら、皮膚に当てる器具(プローブ)を手に持った。見た目には何の動きも感知できないが、プローブに化粧水をたらすと、それが踊るように振動した。
米村さんの顔にゲル状の物質が刷毛でたっぷり塗られた。そしてプローブで超音波振動を肌に伝えた。プローブが顔の上を滑るように動いていく。米村さんは寝入りそうな表情を浮かべた。
「血行促進、リフトアップ、むくみを取る効果もあります」。重信さんはこう説明しながら、これを7~8分間続けた。
(つづく)
(c)KOREA WAVE
「まな板の鯉」から始まる美容体験 [KWレポート] 韓国コスメで挑む“おじさん卒業” (3)
韓国コスメを使ったエステという「未知の領域」に、米村耕一さん(52)は足を踏み入れることになった。その胸中には、ふたつの思いが交錯した。
「乾燥」「しわしわ」「シミが目立つ」状態から決別すれば、「小ぎれい」「ピリッと」「すっきり」「しっとり」「さわやか」という印象を周囲に与えられるようになる。そうすれば、人に見られることに抵抗がなくなり、自信にもつながる。仕事への向き合い方も、より積極的になるだろう。
でも、本当にエステに効果はあるのだろうか。美容に関する情報には、宣伝文句がはんらんしている。「おススメ」と書かれた化粧品や器具をそのまま信じても大丈夫なのだろうか。自分から情報にアクセスするという姿勢がなければ、言われるがまま施術を受けることになる。「手つかずのまま」にしておいた方が良いのではないか――。
期待と不安を抱きながら、米村さんはガウン姿になり、「銀座メンズサロンMATHIS(マティス)」の施術室のベッドに横たわった。
耳を澄ませば、音楽が聴こえてくる。眠りを誘うような旋律ではなく、リズムのはっきりしたロック調の曲に思えた。
◇IPL
エステティシャンの重信聡美さんは、米村さんの顔の状態を改めて確認した。
「目の下まで毛が来ていますね。鼻の上の毛ですが、脂が詰まっていますね。鼻と頬の脱毛をすれば、きれいになると思いますよ」
ひげが濃いということが気になっていた米村さんは「それは何か貼り付けてパッと剥がす方法ですか?」と問い直した。だが、この段階で紹介されたのは、それではなかった。
「IPLという光で徐々に目立たなくしていくというものですね。バリッと剥がすのもあるのですが、それだと根本的に解決しません」
IPLとは「Intense Pulsed Light(インテンス・パルス・ライト)」の略。キセノンランプから発せられる強い光を皮膚に照射すると、メラニンのある細胞やヘモグロビンに吸収されて熱が発生する。毛根や毛乳頭にダメージが与えられ、1~2週間後に抜け落ちる――。施術は数秒で終わるうえ、レーザー脱毛よりも痛みが少ないとされる。ただ1回だけでは不完全で、効果を実感できるようになるまでに4~5回繰り返す必要がある。
「IPL?」。米村さんは固まった。「だんだん、じわじわと弱めていくという感じですか?」。こんな問いかけに、重信さんは大きくうなずいた。
◇クレンジング・吸引
施術がスタートした。
米村さんの顔にスチーマーで発生させた蒸気が軽く吹き付けられる。泡立った白濁色のクレンジング材が顔全体に塗られ、その泡で皮脂を浮き上がらせるようにマッサージが施される。
目と鼻の穴、口以外はホイップ状にした洗顔料が塗られる。数分間のマッサージのあと、フェイシャルスポンジですべてふき取られた。
このプロセスで毛穴の汚れがきれいになるという。
次に、毛穴洗浄のための鼻専用ピーリング剤が塗られ、浸透させるという手順が進められた。
米村さんの顔にはあごの方からスチームが軽く吹き付けられている。
事前のカウンセリングの際、米村さんは重信さんから「洗顔は33度以下のお湯で」と勧められていたこともあり、このスチームについても尋ねた。
「やはり33度以下ですか?」
サウナのような温かさがあり、33度には思えなかったからだ。
「もうちょっと温度は高いです」。こう口にしたあと、重信さんは次のように説明した。
「スチームであれば問題はありません。皮膚の温度を高めることが、必ずしも良くないわけではありません」
ここでも米村さんは納得していない様子だ。「顔に当てるのが良くない?」
「そうですね。高い温度のお湯で洗えば、美容液成分が全部流されてしまいます。免疫が下がってしまうのです。もとからある肌の美容液成分というものは、一度洗い流してしまうと、次に作られるまで、もとに戻らないのです」
この状態で10~15分間、待った。
やや肌が柔らかくなったように見える。
次に持ち出されたのが、吸引機。顔の表面に浮き出た物質を吸い取るのだ。
吸引機のガタガタという音が鳴り響き、施術室の静寂は打ち破られた。ぽっつ、ぽっつという小さな音とともに、顔の表皮にある物質が次々に吸い込まれていく。皮脂だ。「そんなに多くないですね」。それでも試験管は白濁色になっていた。
この段階で、すでに顔色が明るくなったように見える。
同時に、ヒゲが浮き出た。
◇ピーリング
次はピーリング。顔に乗っている頑固な角質を除去する施術だ。「STP(乳酸ピーリング)」の液体がハケで顔全体に塗られていく。
「乳酸」は比較的、分子が大きく、皮膚の浅いところで作用するため、肌への刺激・負担が小さいとされる。肌の弱い人向きの「やさしいピーリング」とも称される。
それでも酸度の高い液体が塗られたため、米村さんは「少しピリピリする」とつぶやいた。
これでさらに10分置いた。
ヒリヒリ感を和らげるため中和剤を顔に付着させ、顔全体に広げる。皮膚が酸性に傾いたため、それを元に戻すのだ。
その後、フェイシャルスポンジでふき取る。この「フェイシャルスポンジ」は今回のエステには頻繁に登場する。
ホットタオルを顔に乗せ、丁寧にふき取る。不安げな米村さんに重信さんは「これでお肌が整いました。つるっとした感じですね」と言葉をかけた。
「まな板の鯉ですね。何をやられているのか、まったく感覚がありません」。米村さんは言葉少なだった。
(つづく)
(c)KOREA WAVE
「肌の中に入れる」への戸惑い [KWレポート] 韓国コスメで挑む“おじさん卒業” (2)
中年男性の美容に対する思いは複雑だ。外見的に自分がどの程度の男なのか、だいたいわかっている。自分の姿かたちを変えよう、かっこよくなろう、という意欲を、もはや持ちえない。がんばって美容に取り組んでも「だれのために?」と考え込んでしまう。
ただ「清潔な男性」とは言われたい。「小汚い」より「小ぎれい」がいい。「美容はエチケット」と言われれば、すんなり受け入れたくなる。
韓国コスメによる「変身」を試みる毎日新聞外信部副部長の米村耕一さんは52歳。「まだ52歳。『老人』になるのは早い」。こんな気持ちから「銀座メンズサロンMATHIS(マティス)」の“高い敷居”をまたいだ。
◇「浮かせて剥がす?」
「このベーシックでクレンジング・洗顔をして、吸引と肌質別パックと肌を整えますね」
エステティシャンの重信聡美さんが、韓国コスメを使った「トラブル肌」の解決策について説明する。聞き慣れない用語を次々に浴びせられ、米村さんはあとずさりする。
解説を聞いてみると――。
美肌の土台作りに欠かせないのが“落とす”ケアだ。
クレンジングとは、メイクなどの脂汚れや、毛穴につまった角栓、黒ずみなどを落とすプロセス。ゴシゴシ洗えば、肌を痛めてしまう。洗浄力が強すぎると肌が緊張する。逆に、やさしすぎると汚れが残る。カギとなるのは絶妙なバランスだ。
普段の洗顔では落としきれないような毛穴の汚れを、このクレンジングの段階で除去する。
次が毛穴吸引。詰まった角栓(毛穴の黒ずみの原因物質)や汚れをガラス管で吸い取れば、黒ずみがクリアになり透明感がアップする。
ただ、鼻の毛穴は吸引だけでは不十分だ。皮脂や古い角質が詰まり、それが酸化して黒ずみになっているからだ。これを除去するため▽「ピーリング(peeling)」(薬剤を使って皮膚再生を促す施術)により、肌のターンオーバーを促す▽スチーム(水蒸気)を当てて、海洋構造水の力で鼻の皮脂を出す▽さらにそれを吸引する――という段取りを取ることにした。
米村さんの顔には角質がしっかり乗っている。これを除去するために、部位別のピーリングをしていければよい――重信さんの提案を、米村さんは「浮かせて剥がすっていうイメージ」と理解した。
ピーリングに使う液体として「WGP(水光ピーリング)」「BP(ニキビ跡・色素沈着)」「OCP(オイリー・ニキビ)」「STP(乳酸ピーリング)」の4種類が用意された。「くすみやシミが見られたので、乳酸を使う」との判断から「STP」が選ばれた。
乳酸は「α-ヒドロキシ酸(AHA)」(果物にも含まれているため「フルーツ酸」という別名もある)の一種で、表皮剥離の促進作用がある。乳酸ピーリングでは乳酸を表皮まで浸透させ、ターンオーバーを促進する。表皮に含まれたメラニンも同時に除去できるため、くすみやシミを徐々に目立たなくする効果が期待できる。
施術に関するカウンセリングの中で、次のようなやり取りもあった。
Q:しっとり仕上げるのと、つやっと仕上がるのではどちらがいいですか?
A:「しっとり」と「つや」の違いがわかりません。
Q:「しっとり」とは、触った感じが温かい。「つや」とは、光っている感じがすること。
A:はぁ……。
日本や韓国の美容のトレンドは「水光肌(すいこうはだ)」だそうだ。「みずみずしい肌」「輝くような透明感」を目指す。「これを少し意識しながら、ピーリングをブレンドさせていただきます」。重信さんの説明を聞きながら、米村さんはここでも力なくうなずいた。
◇アンプル?チクチク?
エステに関する知識が十分でない米村さんは、明らかに慎重になっていた。どんな些細な用語でも、わからなければ、「素人なり」の質問をためらわずにぶつけていた。一方、重信さんは「よりよい肌を実現するためにはどういう施術が必要か」を説く。両者の間にはまだ“目指すべき肌”のコンセンサスができていないように見えた。
米村さんが特に神経を尖らせたのが「皮膚に針」という施術に触れた時だった。
美容に詳しくない者は「韓国の美容」への警戒感を排除できない。現地報道などで時折、「韓国は整形大国」「それが失敗して惨事になった」「元に戻すのに倍の費用がかかった」などのニュースが伝えられるためだ。こうした情報が組み合わさって、韓国の美容整形に「顔に傷がつくのでは?」というイメージがまとわりつく。
米村さんは、同僚で毎日新聞ソウル支局の日下部元美記者が書いた「美容皮膚科」に関する体験ルポを思い起こしていた。そこには「顔全体に」「まんべんなく」「何度も繰り返し」「美容成分の注射を打たれた」「痛みが続く」「鼻などは特に痛みが強い」「知らずのうちに涙が頰を伝っていた」という言葉が踊る。
重信さんから「幹細胞MTS導入」という言葉を伝えられ、米村さんは「このことか」とピンときたようだ。警戒心はピークに達した。
何かを「打つ」ようだが、「幹細胞MTS導入」という言葉はなじみがない。説明を聞いてみると――。
MTSは「マイクロニードル・セラピー・システム(Microneedle Therapy System)」。マイクロニードル(極微細な針)を使って皮膚に極微細な穴を開ける。すると、その傷を治そうと、皮膚細胞からさまざまな成長因子(細胞の増殖・分裂を促すタンパク質)が分泌される。コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンなどが増殖し、皮膚の再生・入れ替えが進む。同時にその極微細な穴から美容成分も浸透させる。
マイクロニードルは「髪の毛よりも細い」。こんな説明を聞いて、米村さんの表情がやや緩んだ。
ここでは、ドイツ「Dermaroller GmbH」社の「ダーマスタンプ」という器具を韓国でバージョンアップさせたものを使って、スタンプを押すように多数のマイクロニードルを一度に突き刺す方法を採用することになった。「注射を打つのを、ちょっとマイルドにするという感じです」。重信さんはこう言って安心させた。
肌に浸透させる美容成分は、ここでは「アンプル(AMPOULE)」という言葉で表現されている。そもそも「アンプル」とは、注射剤を入れる密封小瓶。これが韓国コスメで話題になり、「高濃度の美容成分が入った美容液」を指す用語として定着している。
ザクロエキスはビタミンCで抗酸化、低分子のコラーゲン、サーモンから抽出のDNAが韓国で流行している。ダメージを受けたものを、内側から修復する……。こうした説明に、米村さんは十分な理解が進まなかったものの、韓国で定番といわれる「ヒト幹細胞培養液のアンプル」を進められ、これを使うことにした。
説明を聞きながら、米村さんはやはり不安が先走っている。「やっぱり肌の中に入れなきゃいけないのはなんでなんですか?」
化粧水などによる普段の手入れなら、その効果は表面にとどまってしまう。MTSならより深く浸透させられ、効果的だ。肌の再生力も強くなる――頭では理解できても、決断ができない。
「もうすでに、何がなんだか、よくわからないですよね」
ここまで、文章で示せば、おおむね理屈はわかる。だが前知識のないまま、口頭で美容用語による説明を受けても、中年男性はやはり簡単には飲み込めない。
とりあえずの予算を決める。全工程合わせて「18,300円」と提示された。「全部セットでこの金額。思ったほど高くないんですね」。こう言い残して、米村さんは施術室に向かった。
(つづく)
(c)KOREA WAVE
「今さら外見なんて…」を覆したい [KWレポート] 韓国コスメで挑む“おじさん卒業” (1)
韓国コスメが世界を席巻している。だが美容に無頓着な中年男性は、その価値をほとんど理解できていない。一方で、しわとシミを放置しながら年齢を重ねていくことには、小さな抵抗感もある。そんな中年男性が「韓国コスメの敷居」を跨ごうとすると、どうなるのか。ある男性の体験に同行した。【KOREA WAVE編集長 西岡省二】
◇K-カルチャーとともに急成長
「一般」という言葉が正しいかどうかわからないが、一般の中年男性から見れば、「コスメ」は遠い存在だ。そもそも「顔を手入れする」という発想はあまりない。何より、顔の手入れよりも、時間を費やしたいことがたくさんある。「いまさら外見にこだわってどうする」というあきらめの気持ちも強い。
一方で、自分たちの知らない世界で、韓国コスメは着実に存在感を高めている。K-ドラマや映画、K-POPなどK-カルチャーの浸透に伴って、化粧品・ビューティーケア製品も普及し、2024年には米国向け輸出で初めてフランスを上回った。
いったい、韓国コスメの何が良いというのか――。
筆者は2025年4月上旬、東京・銀座にある「銀座メンズサロンMATHIS(マティス)」を訪ねた。男性専用のエステティックサロンだ。韓国コスメを使った男性エステメニューがあると聞き、ここでの韓国コスメによる施術を取材することにした。
今回、体験してもらったのは、筆者が新聞記者だったころの同僚で、毎日新聞外信部副部長の米村耕一さん(52)。記者は勤務時間が不規則で人付き合いにおけるストレスが多く、肌のケアまで気が回るような人は多くない。特に国際報道に関わる米村さんの仕事は過酷だ。
コスメに縁遠い存在――こう思えたからだ。
その米村さんは韓国コスメによってどう変化するのか。それともしないのか。
◇「キメの細かい肌」とは
MATHISでわれわれを迎え入れたのは、ここのオーナーでエステティシャンの重信聡美さん。美容業18年、エステは14年のキャリアだ。米ニューヨークでヘアメイクを学び、その後、エステティシャンに転じた。「銀座SALON MATHIS」は2018年の開業だ。現在、男性美容オンラインスクール「improve」の代表も務めている。
カウンセリングからスタートした。
「何か美容とかしていますか?」。こう問われた米村さんは、ひと呼吸おいて口を開いた。
「基本的にしていません。ローションを使ったり使わなかったり……」
肌のチェックから始まった。米村さんの右手首の内側にマイクロスコープが当てられ、その状態がモニター画面に大きく映し出された。
皮膚の表面は、大小の細かい溝(皮溝)が網の目のように交差している。それに囲まれて四角形・三角形・ひし形のようになっている箇所が「皮丘(ひきゅう)」と呼ばれる。皮溝と皮丘の形が鮮明で、水分が十分に保たれている状態が「キメの細かい肌」と表現されている。
右手首内側の写真を指し示しながら、重信さんは次のように解説した。
「これが米村さんが持っている本来のキメです。この部分は洋服で守られているので、温存されています。しっかりしたキメですね」
同様に頬の皮膚の様子がモニター画面に大きく映し出された。米村さんは表情をこわばらせた。
「かなり違いますね。うーん、これは相当にガサガサ感がある」
画面を見ながら、重信さんがコメントした。
「気になるのが乾燥、シミ、しわですね。ガサガサ感だったり、ちょっと赤味があったりします。角質がたまり、水分と油分がうまく温存できなくなっています」
ここで重信さんが口にしたのが「肌のターンオーバー」という言葉。皮膚が新しく生まれ変わる仕組みを指す。
表皮は、角質層・顆粒層・有棘層・基底層で構成される。基底層で新しい表皮細胞が生まれ、徐々に押し上げられて角質細胞となる。古くなった角質細胞は、垢やフケとして剥がれ落ちる。正常な肌の場合、ターンオーバーの周期は、皮膚の場所によって異なるものの、おおむね4週間(28日間)といわれる。
ただ、乾燥、ストレス、紫外線、加齢、手入れ不足などにより、ターンオーバーが乱れると、この角質が剥がれ落ちたり落ちなかったりする。正常なターンオーバーが難しくなり、透明感や弾力が失われる。
これが「トラブル肌」だ。
◇洗っているのに汚れている
次に重信さんがスコープを当てたのは鼻だ。モニター画面には、黒ずみと毛もはっきり映し出された。
「でも毛はしょうがないのでは?」。米村さんが思わずこう口にすると、重信さんは「間引いていくことで、だんだん目立たなくすることができます」と返した。
黒ずんでいるものの正体とは――。
「皮脂ですね。タンパク質の汚れも混じっています。それらが酸化して黒ずんでいるのです」
次は右の頬の付近にスコープを当てる。「シミができています」
肌にシミができる最大の要因が紫外線だ。強すぎる洗顔や、シェービングによる摩擦の繰り返しもシミ(色素沈着)を引き起こす。米村さんはひげがやや濃く、剃り過ぎて、炎症も起こしているようだ。伸び切ったまゆ毛も気になる。
人の顔は、斜め45度のラインがきれいであれば、「ああ、すごく若々しい」という印象になるそうだ。
「頬のなかでも、光が当たる高い部分のヒゲを取り、まゆ毛を少しカットしてブローリフト(まゆ毛パーマ)して整えて切る。シミを薄くしていくだけでも、すごく若々しい印象になります」。こう勧められ、米村さんは力なく「なるほど」とつぶやいた。
一連のトラブルを、韓国コスメを使ってどう解決していくか。カウンセリングは次の段階に移る。
(つづく)
(c)KOREA WAVE
韓国で求人3%減…IT・建設・教育業界に深刻な打撃、AI導入が影響か
韓国で2025年上半期の求人公告数が前年同期比3%減少し、縮小傾向が見られた。特にIT・通信、建設・土木、教育・出版業界で公告数が大きく減少した。
上位の求人プラットフォーム「キャッチ」がサイトに掲載された2024年と2025年上半期(2~4月基準)の求人公告データを分析した結果、全体の公告数は1万9940件で、前年同期(2万483件)に比べて約3%減少したことがわかった。
IT・通信業界は2024年の5519件から2025年は5013件に減少し、全業種の中で最も大きな減少幅を記録した。特に新卒採用公告は961件から915件に約5%減少し、キャリア採用の減少率(-3%)のほぼ2倍に達した。
これはChatGPTなどAIツールの導入が本格化する中で、企業が単純業務中心の新卒よりも高度な業務を担えるコア人材を重視する傾向が影響したものとみられる。新卒採用を減らす代わりに、自動化の導入やインフラ改善に集中する企業も一部見受けられる。
建設・土木業界は-31%の減少率で、業種別で最も大きな下落幅を示した。求人公告数は2024年の546件から2025年は374件に減少し、新卒(-11%)とキャリア採用(-24%)のいずれも明確な減少傾向を示した。これは景気低迷と中長期的な業界縮小が複合的に影響した結果とみられる。
教育・出版業界も昨年の767件から今年は559件に求人公告が-27%減少し、全業種で2番目に大きな減少率を記録した。学齢人口の減少とAI導入による採用縮小などが主な要因とされている。
一方、メディア・文化(+30%)、販売・流通(+8%)、銀行・金融(+6%)業界は前年に比べて求人公告数が増加したことが明らかになった。
キャッチのキム・ジョンヒョン本部長は「2025年上半期はAI導入などさまざまな要因により主要業界の採用がやや縮小した時期だった。下半期は景気回復を含めた外部環境の変化によって採用市場の動きがどう展開されるか注視する必要がある」と分析した。
(c)KOREA WAVE
李在明大統領、韓国財界関係者と面会…「不要な規制、思い切って整理する」
韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領は13日、財界関係者と会い、「行政の便宜のための不要な規制は思い切って整理する」との考えを明らかにした。
大統領はこの日、龍山の大統領執務室で経済団体や企業関係者との懇談会を開き、「政府がわが国の企業に何ができるかに関心が高いと思うが、皆さんの言葉を借りれば規制の撤廃または緩和であり、規制の合理化に注力しようと考えている」と語った。
さらに「国民の生命と安全を守ること、治安や安全保障の問題は当然政府が基本的に果たすべき役割だが、それ以外で最も重要なのは結局、国民の生活の問題だ。その核心が経済であり、経済の核心は企業だ」と述べた。
そのうえで「政府としては、わが国の企業が経済成長と発展に貢献できるよう、自らの事業をしっかりと遂行できるよう積極的に支援し協力することが最も重要な仕事だ」と強調した。
企業内部の問題、労働の問題、中小企業の問題など、公正な経済エコシステムを構築することもかなり重要なことだ、との考えを示したうえ「韓国経済の状況は、かつてのような不当な競争や一種の特恵、一種の搾取といったやり方では、もはや持続的な成長は不可能だ。その段階はすでに脱していると考えている」と強調した。
「長期的に見れば、第一段階として現在の産業経済を正常化しなければならない。企業が現在、国際競争で苦戦しているが、そうした国際競争での困難を最小限に抑え、外交・安全保障活動を通じて企業の経済活動領域を拡大することにも注力したい」
イ・ジェミョン大統領はこう語ったうえで、次のように呼びかけた。
「今後、産業経済政策の方向性をどうすべきか意見をいただきたい。私自身も基本的な考えがないわけではないが、現場の皆さんの意見が重要なので、海外通商情勢に関連して我々が取り組むべき課題も指定していただければ、それに合わせて最善を尽くしたい」
◇「必ず克服できる」
この日の懇談会には、韓国経営者総協会のソン・ギョンシク(孫京植)会長、大韓商工会議所のチェ・テウォン(崔泰源)会長、韓国経済人協会のユ・ジン(柳真)会長、韓国貿易協会のユン・ジンシク(尹鎮植)会長、中小企業中央会のキム・ギムン(金基文)会長、韓国中堅企業連合会のチェ・ジンシク(崔鎮植)会長、サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長、現代自動車グループのチョン・ウィソン(鄭義宣)会長、LGグループのク・グァンモ(具光謨)会長、ロッテグループのシン・ドンビン(辛東彬)会長らが出席した。
この場でチェ・テウォン会長は「米中覇権争いや地政学的な対立、グローバルリスクが引き続き困難を増している」とし、「米国による相互関税賦課により何も決められない不安な状況が続き、企業人が事業の決定や投資をするうえでかなりの困難に直面しているのも事実だ」と吐露した。
さらに「大統領と新政権でも通商・産業政策の調整に苦慮していることと思われる。企業側も政府とともに知恵を絞って解決策を模索することに力を尽くしたい」と語った。
イ・ジェヨン会長は「今回の経済危機も大統領のリーダーシップを中心に官民が力を合わせれば必ず克服できる。予定している国内投資と雇用を着実に実行し、厳しい経済状況を乗り越えるために最善を尽くしたい」と述べた。
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「おごるのは私?」母のひと言に高2の娘、怒り心頭…韓国・娘の「バイトでためた100万円」を当てにする親
韓国の高校2年の女子生徒が最近、あるオンラインコミュニティに「母が外食の度に食事代を要求してくる」という体験を投稿した。
女子高生は夢をかなえるため昨年から1年余りアルバイトをしており、既に1000万ウォン(約100万円)以上の貯金がある。塾にも通って大学進学の準備をしている。
以前から貯金が趣味のようなもので、家族を誘って外食したり、出前を取ったりすることもあった。もちろんそれは自分から「ごちそうする」と言ってのことだ。
しかし最近、金銭的に余裕があることを知った母親が外食の際に「これ、私が払うの? それともあなた?」と聞いてくるようになった。
冗談交じりなので笑って流していたが、ある日、ついに「親なのに娘にそんなことを言う?」と一言物申してしまった。
母親は「そんなふうに思っていたなんて。知らなかった、ごめん」と返したが、その謝り方は全く心がこもっていないようだった。
女子高生は「話しているうちに腹が立ってきた。悪いのは私なのか、それとも母なのか」と意見を求めた。
この投稿に対し、ネットユーザーからは「しっかりためて大学の入学金は親に出してもらいなさい」「お金があるなんて絶対言っちゃダメ。常に『お金がない』『これが必要』って言うこと」「もう自分から『おごるよ』なんて言わないで。アルバイト代は全部使い切ってるフリをするのがいい」といったコメントが相次いだ。
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韓国・集団学校暴力事件、加害生徒の親に現職警官…「事件隠蔽」疑惑に騒然
韓国で、中学生時代から4年間、同級生を繰り返し暴行し苦しめた高校生4人が警察に立件された中で、加害生徒の親に現職警察官がいることが明らかになり騒動が大きくなっている。
忠南警察庁は9日、特殊暴行・恐喝および性暴力処罰法違反などの疑いで17歳の少年ら4人を立件し、調査中だと明らかにした。
少年らは4年前から忠清南道の中学同級生に対し、集団で暴行を続けた疑いが持たれている。少年らは250万ウォン(約25万円)相当の金品を奪ったり、腕を縛った状態で体の一部を露出して写真を撮影した疑いも持たれている。
韓国SBSテレビは9日、加害生徒の親に現職警察官が含まれていると伝えた。事件を隠蔽した疑惑まで提起されており、さらに徹底した調査を求める声が高まっているという。
警察関係者は「最近、被害者と参考人の調査を全て終えた」とし「近いうちに容疑者を呼んで詳しい犯行経緯について調べる」としている。
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酒気帯びのSUV、商業施設駐車場で暴走…韓国・停車車両、外壁など次々衝突
8日午前9時10分ごろ、韓国・釜山(プサン)広域市海雲台区(ヘウンデグ)の大型商業施設の駐車場で、60代の運転者のSUV(スポーツ用多目的車)が出庫中に後方の乗用車に衝突し、その後約150メートルにわたって前方に暴走する事故が発生した。
SUVは最初に後方で待機していた乗用車にぶつかった後、そのまま急加速して駐車中の別のSUV、金属製フェンス、さらに近くの建物のトイレ外壁に次々と衝突し、ようやく停止した。
この事故で運転者は軽い擦り傷を負った。他にけが人はいなかった。
警察によると、飲酒検知の結果、血中アルコール濃度は運転免許取り消し基準である0.08%を超えていたことが分かった。
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