2024 年 5月 18日 (土)
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韓国大統領府74年ぶりに開放、観光収入1兆8000億ウォン?

  現場ルポ  

大統領府は5月10日、新政権発足に合わせて開放される©NEWSIS

韓国大統領府(青瓦台)が74年ぶりに大統領の「九重宮闕(奥深い宮中の意)」から国民の空間に衣替えする。高麗・朝鮮時代にも宮殿の一部だったという点を考慮すれば、1000年ぶりに一般大衆に開かれることになる。ソウル・光化門(クァンファムン)を超え、韓国文化・観光地形図を変えるほど波及効果があると予想され、活用案についてさまざまな意見が出ている。

政権引き継ぎ委員会などによると、来月10日、ユン・ソンニョル(尹錫悦)氏の大統領就任式直後から大統領府が電撃的に開放される。10~22日、関連行事が開かれ、引き継ぎ委は同期間中、1日最大3万9000人が入場するものと見ている。これに併せて、北岳山(プガクサン)の登山路も全面開放され、光化門広場~景福宮~大統領府~漢陽都城の城郭道がつながり、都心に大きなレジャー・観光ベルトが作られる。

国内文化・観光市場も揺れ動いている。韓国文化観光研究は年間最低2000億ウォンの経済効果を予想し、韓国経済研究院はさらに大統領府開放後、毎年1兆8000億ウォンの観光収入が得られると見込む。調査の妥当性に疑問符がついてはいるが、韓国近現代史の舞台である大統領府開放により、有形無形の経済的・文化的効果が現れることに異論はなさそうだ。広場と古宮、大統領府まで過去と近現代を一度に経験でき、今後、建設されるイ・ゴンヒ(李健煕)美術館の相乗効果も期待できるからだ。

このため、大統領府をどのように活用し、運営主体を誰にするのかについて、各界の議論が活発化している。米国誕生の歴史を一つにつなげたボストンの「フリーダムトレイル」や仏エリゼ宮通りのように歴史と芸術が息づく場所にしようという点ではコンセンサスが形成されている。ただ、細部では博物館・美術館・歴史文化公園など各界の立場に少しずつ差がある。

大統領府境内の主要施設および文化財。番号順に大統領府本館、迎賓館、大統領官邸、水宮跡、常春斎、緑地園、大統領秘書室、春秋館、ムクゲ園、七宮(写真=大統領府、国民の懐へホームページ)©MONEYTODAY

最も積極的なのは、ソウル市傘下のソウル観光財団だ。ソウル市観光関連政策と事業を主導してきたことから専門性が高く、政治的側面でも有利だという点で運営に意欲を示している。大統領府開放と関連のある引き継ぎ委社会福祉文化分科に参加中のキム・ドシク委員が直前までソウル市政務副市長を務めていたためだ。今月初め、引き継ぎ委と観光業界・学界が3回にわたって大統領府開放や観光回復のための懇談会を開いた後、財団で唯一報道資料を出し業界の声を強調したのもそのためと解釈されている。

財団によると、観光業界は引継ぎ委に大統領府をランドマークに周辺観光資源をつなぐソウル都心の集団的な観光拠点にすべきだという意見を出したという。これはオ・セフン(呉世勲)ソウル市長が昨年、松峴洞(ソンヒョンドン)へのイ・ゴンヒ美術館建設を決定する席で「光化門一帯を世界的な歴史・文化・観光ベルトに発展させる」と言及したこととも脈が通じ、財団が相当、後押ししたものとみられる。

ただ、大統領府だけでなく国内最高の観光名所である光化門全体をまとめた文化・観光コンテンツを作る政策を樹立しなければならないため、財団の力量だけでは足りないという指摘もある。ある観光関連機関の関係者は「大統領府の象徴性や大統領府を中心に集まっている古宮、美術館など多様な機関を統合するためには中央省庁である文化体育観光省や韓国観光公社の役割が必要だ」と述べた。

7月に開場する光化門広場鳥瞰図。光化門広場の後ろに景福宮と大統領府が見える。市民の接近性が高まった光化門広場が再オープンし、大統領府が開放されれば徒歩で見学できる観光ルートが形成される(写真提供=ソウル市)©MONEYTODAY

美術界は大統領府に隣接する三清洞が国立現代美術館に位置し、各種ギャラリーに世紀の美術品を収めたイ・ゴンヒ美術館まで入る「美術1番地」であることから、近代美術館などに活用しようという立場だ。文化財庁をはじめ文化遺産界でも、大統領府の活用をめぐり声を上げ出した。大統領府には朝鮮時代の祠堂である「七宮」と統一新羅時代の仏像である宝物「石造如来坐像」など、さまざまな時代の文化遺産があり、「歴史文化空間」というマクロ的観点から接近すべきだとしている。

文化財庁と韓国建築歴史学会が22日に開催したセミナーで、仁川(インチョン)大のイ・ヨンギョン学術研究教授は「高麗以後、さまざまな時代の層を持つ大統領府を活用する際、総体的環境に注目しなければならない」としたうえ「綿密な学術研究で変化の過程を把握し、人々の大切な記憶を集めて共同の遺産にする作業をしなければならない」と強調した。

大統領府が文化観光施設として活用する場合、所管省庁となる文化体育観光省と大統領府のサランチェ(大統領府博物館)を運営している観光公社は、大統領府開放計画に歩調を合わせるほか、特別な構想を出していない。K-POP公演や実感技術の融合など多様な活用可能なコンテンツが取り上げられているが、綿密な検討が必要だと判断したからだ。公社関係者は「大統領府開放は初めての試みで、直ちに何かの施設を運営しなければならないというよりは中長期的な観点で計画を立てる必要がある」と述べた。

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