2024 年 4月 28日 (日)
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韓国の食卓を目指す「海藻由来」の培養肉(下)

Startup Story ~~ 成功のカギ

シーウィズ(seawith)イ・ヒジェ代表

シーウィズ(seawith)イ・ヒジェ代表©MONEY TODAY

韓国国民の1人当たりの肉類消費量は、2020年で54.3㎏。これは米の消費量57.7㎏に迫る。国連食糧農業機関(FAO)によると、2050年の世界肉類消費量は2018年より50%ほど増える見通しだ。肉類消費量の増加スピードが2倍以上速いということだ。

こうした肉類消費の急増に伴い、代替肉が注目されるようになった。特に伝統的な肉類生産方式が▽飼育に伴う環境汚染▽動物倫理――など多くの困難に直面していることから、これに代わる培養肉が関心を集めているわけだ。

この肉は動物細胞を培養して製造した「人口肉」だ。動物の筋肉細胞を抽出した後、実際の肉と類似した状態の細胞構造体(細胞が育つときに必要な専用空間)の中に注入し、培養液を投与し続けて育てる方法だ。

だが、現在はまだ培養肉を韓国の食卓に上げることはできない。その理由は、一般に流通される肉よりも生産単価が高いからだ。

培養肉が高額な理由は、生産費の80%以上を占める培養液の価格と関係している。

培養液は主に、牛胎児血清(FBS)に化学物質を混ぜて製造する。FBSは、豊富な栄養分と成長因子を持ち合わせているが、生産量が制限的かつ高価であるという問題を伴う。実際に、培養液の約10リットル価格は約12万ウォンに達する。10リットルの培養液で製造できる肉は約150g程度なのだ。

イ代表はFBSの代わりに、栄養補助剤として使われる海藻類の一種「スピルリナ」に注目した。

シーウィズが開発した「海洋微細藻類基盤の培養液」はこれを配合して従来の培養肉に比べ、FBS使用料を70%以上も減少させた。「海で簡単に手に入る海藻類で、一般の細胞培養液に比べて100分の1水準に価格を引き下げたうえ、犠牲になる牛も減らせるので倫理的」(イ代表)。この技術によって培養肉の価格も従来の20分の1に抑えられる見通しだ。

シーウィズは昨年、培養肉ブランド「ウェルダン」を発表し、培養肉の食品化が迫っていることを広く知らせた。昨年、京畿(キョンギ)道水原(スウォン)市に都市培養肉生産農場「ザ・ファーム」をオープンするなど、専門生産施設も整えている。シーウィズはこうしたインフラを基盤に、2年以内に培養肉の食品許可を得て市場に披露することを計画している。

培養肉が韓国の食卓で家畜肉と競争するためには――イ代表は「3~5年以上の時間が必要」と予想する。

「初めてハンバーガーが登場した時も、誰がこんな低質なひき肉を食べるのかと思いましたが、今や誰もが楽しんでいます。私たちが好んで飲むビールやヨーグルトも似たようなプロセスで大量培養機械によって生産されています。こうした経緯を振り返ると、実験室で製造されるという嫌悪感もすぐになくなるでしょう」

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