
韓国で5月に実施された英語検定試験「TOEIC」の定期試験で、カメラや生成AI(人工知能)機能を搭載したスマートグラス(AIグラス)を悪用した不正行為の試みが初めて摘発された。公認の語学試験で先端ウェアラブル機器を使ったカンニング行為が確認されたのは初の事例だ。AIグラスの急速な普及を前に、各種語学試験だけでなく国家試験や大学入試でも同様の不正が増加する懸念があり、試験会場における管理・監督体制の抜本的な点検と強化を求める声が上がっている。
韓国のTOEIC試験を主管するYBM韓国TOEIC委員会によると、5月に実施された定期試験において、AIグラスを使った不正行為の試みが計2件摘発された。いずれも試験開始前の本人確認や見回りの際、受験生の眼鏡に不審な点を感じた試験監督官によって発見されたという。
最初の摘発は5月10日の試験で、現在オンラインの海外直販や中古市場などで流通しているメーカーの製品を着用していた受験生だった。続く5月31日の試験でも、韓国国内では未発売のメーカー製品を着用して臨んだ受験生が摘発された。同委員会は「5月の定期試験でAIグラスを活用した不正の試みがあったのは事実だ。対象者については現在、不正行為の処理手続きを進めている」と明らかにした。
AIグラスは、カメラ、マイク、スピーカーと生成AIが連動した眼鏡型の端末だ。レンズ越しに問題用紙を見るだけで、カメラが捉えた文字情報をAIが瞬時に分析し、レンズ上のディスプレイに解答やヒントをリアルタイムで表示させることができる。従来のスマートフォンなどとは異なり、一見すると通常の眼鏡と見分けがつきにくいため、試験現場で悪用されるリスクが極めて高いと指摘されてきた。
韓国では5月25日にAIグラスが発売されたばかりで、2026年下半期(7〜12月)にかけてはさらに多くのメーカーから新製品が市場に投入される。利用者の急増が見込まれるなか、先行して発売された海外ではすでに悪用事例が相次いでおり、中国では大学の定期試験などでAIグラスを用いた組織的なカンニングが横行していると現地メディアで報じられている。
先端機器の登場に対し、語学試験の運営側は先制的な対応を急いできた。YBM韓国TOEIC委員会では、監督官を対象にAIグラスを含む最新の電子機器を使った不正の手口や摘発要領に関する事前教育を強化しており、今回の2件の摘発もその成果とみられる。同委員会では、試験中の巡回監視だけでなく、試験終了後にも答案の類似度分析や過去の受験パターンとの比較検証を進め、事後的な不正の検出にも全力を挙げている。不正が確定した場合、成績は無効となり、最長5年間の受験資格剥奪のほか、問題流出や著作権侵害が認められれば民事・刑事上の法的責任も追及される。
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