2024 年 3月 29日 (金)
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枯渇する資金源 [KWレポート] サイバーセキュリティ 置き去りにされた業界 (1)

(写真=gettyimagesBank)(c)MONEYTODAY

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)政権がサイバーセキュリティ強化を公約したにもかかわらず、国内セキュリティ業界は依然、零細ぶりから抜け出せずにいる。硬直したセキュリティ規制が緩和され、一部の活路が開かれたものの、依然、投資は冷え込んでいる。各種ハッキング被害が相次ぐ中、サイバーセキュリティ産業とユニコーン育成を阻害する要因は何なのか。

◇兆単位の時価総額銘柄がない

「韓国で上場を廃止し、米ナスダックに移転上場しよう、という提案を最近受けた。同じ売り上げでも、韓国と違ってサイバーセキュリティ業に対するバリュエーション(企業価値評価)が高い米国に行けば、数倍以上の高い価値を受けることができるからだ」

韓国のサイバーセキュリティ企業の代表は、セキュリティ業が冷遇されている現状についてこう吐露した。

生成型AI(人工知能)の登場でデジタル転換が加速化し、サイバーセキュリティへの脅威も同時に大きくなった。だが、韓国ではセキュリティ企業が相応の価値評価を受けられていないという悔しさを表わしたのだ。

米ナスダック上場サイバーセキュリティ企業「パロアルト」は4月末、時価総額が560億ドル(約75兆ウォン)に達する。パロアルトのほかにも「クラウドストライク」(約38兆ウォン)、「チェックポイント」(約22兆ウォン)、「ジースケイラー」(約18兆ウォン)、「オクタ」(約15兆ウォン)など、ウォン換算時価総額が兆単位を超える銘柄が多い。

一方、韓国では兆単位の時価総額のサイバーセキュリティ銘柄が全くない。時価総額1位が「アンラボ」(約6200億ウォン)だが、創業者であるアン・チョルス(安哲秀)議員の行動によって株価が乱高下してテーマ株になった。アンラボと「ウィンズ」(約1700億ウォン)を除けば、業歴が古いサイバーセキュリティ銘柄はすべて1000億ウォン台に留まっている。米国との市場規模の違いを考慮しても、過度に低く評価されているという不満が出ている。

物理的セキュリティを兼ねる「SKシールドス」が昨年上半期に兆単位の時価総額を記録するセキュリティ銘柄として期待されたが、金利上昇期の不利な市場環境により、投資家からそっぽを向かれて上場自体が霧散し、結局、海外投資家に持分が売却された。

◇93%が中小企業

それでも韓国上場企業や大企業系列会社などはまだ良い。韓国情報セキュリティ企業669社の93%が資本金50億ウォン未満の中小企業だ。

669社の売り上げ総額は2021年の1年間で4兆5497億ウォン、同年のグローバルサイバーセキュリティ市場(約177兆ウォン)の2.6%だ。北朝鮮をはじめ中国やロシアなど世界最高水準のハッカーたちと連日一戦を交え、技術力を整えてきた韓国セキュリティ業の地位にふさわしくない。

実際、韓国と似たような環境であるイスラエルの場合、2021年の段階で世界サイバーセキュリティのユニコーン(投資家らの評価が高く、企業価値が10億ドル以上ある未上場の成長企業)42のうち6カ所に名前を載せた。チェックポイント、サイバーアーク、ラドウェアなどが代表例だ。イスラエルは国家安全保障レベルでサイバーセキュリティ産業育成のための技術支援など政策資金投資が活発だ。

これと関連して、韓国はユン政権になって「国家サイバー安全網構築」を公約し、硬直したセキュリティ関連規制の緩和と人材養成に拍車をかけ、雰囲気がやや反転した。しかし、重要な資金源は依然として枯渇している。長いセキュリティ業の“ディスカウント”によって、技術事業化や源泉技術確保、M&A(買収合併)を通じた規模の経済構築が難しい。

情報保護産業協会(KISIA)のイ・ドンボム会長は「国内情報保護産業の求心的な役割をする中小情報保護企業に、政府主導の積極的な資金支援体系を整えるべきだ。政府の意志が外部に現れれば、民間投資機関も後に従って動くだろう」と強調している。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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