2024 年 4月 20日 (土)
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投資対象から疎外され… [KWレポート] サイバーセキュリティ 置き去りにされた業界 (2)

科学技術情報通信省(c)NEWSIS

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は最近、「デジタルプラットフォーム政府」実現を宣言し、デジタル転換が話題になっている。だが、これを後押しする核心インフラであるサイバーセキュリティに投資する専用政策ファンドは皆無だ。政策資源支援が不足しているため、民間資金の流入も微々たるものだ。国内サイバーセキュリティ企業の資金調達も難しく、革新技術開発と新市場開拓が難航するという悪循環が繰り返されている。

◇非上場零細中小企業が中心

現在、中小ベンチャー企業省、科学技術情報通信省など省庁が運用する政策ファンドは23件にのぼり、それらを通じた運用資金の規模は1兆6200億ウォンに達する。これらの資金は「母胎(モテ)ファンド」という名前の下で各所管省庁別の育成対象産業の支援に活用されている。

しかし、ここに「サイバーセキュリティ」または「情報保護」という名前のファンドは1件もない。

そのため、サイバーセキュリティ産業を対象にした民間投資金の流入もわずかだ。昨年5月、科学技術情報通信省、ベンチャー企業協会が発表した「2022年ICT(情報通信技術)分野ベンチャーキャピタル投資動向」資料によると、ICT業種全体の投資資金(3兆1438億ウォン)の中でパッケージ・ゲームソフトウェアに投資された資金が2兆152億ウォンに達し、情報通信・放送(7005億ウォン)電子部品(3177億ウォン)などの分野にも主に資金が投資された。

一方、サイバーセキュリティ産業への投資は見当たらない。

ゲームやアウトソーシング、医療、モビリティ、自動運転など流行に乗っている分野だけに資金が集中するだけで、サイバーセキュリティは投資対象から疎外されているようだ。

政策資金からの疎外と民間投資にも背を向けられ、サイバーセキュリティ産業の零細性は深刻だ。国内情報セキュリティ669社のうち、2005年以前、すなわち設立以来現在まで業歴が18年以上になる企業の割合は50.8%に達する。ところが、このうち資本金10億ウォン未満の企業の割合は73.5%に達し、50億ウォン未満の中小企業まで加えた割合は93.2%に達する。

情報セキュリティ企業の90%ほどが非上場という点を勘案すれば、韓国情報セキュリティ産業は非上場零細中小企業中心に構成された業種であるわけだ。

◇生成型AI関連技術、7割「開発困難」

これら669社の2021年の売り上げは4兆5497億ウォン、同年のグローバル情報セキュリティ市場全体規模(約177兆ウォン)の2.6%レベルに止まる。米国(40.9%)、中国(7.5%)、英国(6.5%)、日本(5.4%)、ドイツ(5%)などに大きく後れを取っている。1社当たりの平均売り上げはわずか68億ウォン、同年のコスピ(KOSPI)上場企業595社の連結売り上げ平均値(3兆2249億ウォン)はもとより、コスダック(KOSDAQ)上場企業1048社の売り上げ平均値(1762億ウォン)に大きく及ばない。

一方で、今年に入って生成型AIなどの出現に伴う技術高度化の必要性が浮上している。なのに、韓国情報セキュリティ企業10社のうち7社ほどが資金調達困難により技術開発するのが困難だと訴える。

昨年9月に発刊された情報保護産業実態調査報告書によると、韓国情報セキュリティ企業669社を対象にした調査で「技術開発時に最も困難なことは何か」という質問に対し、「資金調達」という回答が40.8%で最も多く、これに「人材確保や維持」(28.7%)▽「技術情報不足や獲得困難」(13.8%)▽「新技術のライフサイクルの短さ」(12.2%)▽「研究設備の資機材不足」(4%)――などが続いた。

このうち「人材確保や維持」項目も、結局、資金の後押しが不十分だったということに起因する問題だ。事実上「資金調達困難」のために技術を開発するのが困難だと答えた企業の割合が69.5%に上るというわけだ。

これに対し、業界ではサイバーセキュリティ専用政策ファンドの造成を訴えている。今のような厳しい状況では、AIなどディープテックを活用したセキュリティ技術の競争で遅れを取ってしまうという危機感だ。

ある業界関係者は「政策ファンドが投資されるということは、その産業を育成・支援するという政府の意志が投影される。民間だけに依存した時に比べて、はるかに大きな規模の資金が流入する効果がある」と指摘する。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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