2024 年 4月 20日 (土)
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暗号技術で注目のスタートアップ、どんな技術? (上)

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「誇張しているように聞こえるかもしれませんが、暗号技術業界の『アーム(Arm)』になる、と期待してもよいのではないでしょうか」

引き合いに出した英半導体設計大手アームとは――世界の95%のスマートフォンが使うAP(Application Processor、スマホの頭脳のような存在)の設計資産(IP)を有する。モバイル半導体の設計には欠かせない企業だ。ロイヤリティ収益だけで年間15億ドルもある。

そんなアームに例えられる韓国スタートアップ企業、それが暗号技術スタートアップ「CRYPTO LAB(クリプトラボ)」だ。

◇「アームのような…」どんな技術か

CRYPTO LABは、あまりなじみの薄い「同型暗号(HE)」に関連するおおもとの技術を開発・保有するスタートアップだ。

“暗号学の大家”と呼ばれるソウル大数理科学部のチョン・チョンヒ教授が2017年に設立した。ソウル大産業数学センターの第1号インキュベーティングスタートアップでもある。

CRYPTO LABは最近、ストーン・ブリッジ・ベンチャーズ、アルトス・ベンチャーズ、キウム・インベストメントから210億ウォンの投資を誘致し、業界の注目を集めた。

「同型暗号」とは――データを暗号化した状態でも演算・分析できる技術だ。

従来の暗号技術では、ため込まれたデータを使って演算するには、まず解析(複合化)しなければならない。ところが、このプロセスを踏まなくてもデータを直ちに演算・分析できるようにした。

学界で1970年代から提案され、スタンフォード大卒でIBM出身の科学者クレイグ・ジェントリーのもとで2009年に完成した。現在、使われている「第3世代暗号技術」より一段進化したものと評価され、「第4世代暗号技術」と呼ばれる。

◇「電力や時間を画期的に減らす」

業界では、「第4世代暗号技術」は安全性と効用性が優れていると評価されている。

データの流出リスクがなく、流出しても識別ができない。ハッカーがデータを盗み取ったとしても、いかなるデータなのかを知ることはできないというわけだ。

使用効率性も高い。

ディープラーニングなどの人工知能(AI)は、データを絶えず演算しなければならない。ただ、プロセスごとにサーバーからデータをダウンロードし、複合化して演算後に再び暗号化する必要がある。

こうしたプロセスを省略できるのだ。業界関係者は「これまでの暗号技術に比べて、電力や時間を画期的に減らすことができる」とみる。

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