2024 年 5月 20日 (月)
ホーム政治大統領が入試の出題に注文をつける。これは正しいのか

大統領が入試の出題に注文をつける。これは正しいのか [韓国記者コラム]

(c)NEWSIS

「韓国大統領が大学修学能力試験(修能)の問題の方向にまで注文をつける。果たして、これは正しいのか?」。大統領室担当記者の間で、こんな議論が持ち上がった。

突然、イ・ジュホ(李周浩)社会副首相兼教育相のブリーフィングが決まった。これは尋常なことではなかった。そしてイ・ジュホ氏が語ったのが、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の指示だ。「公教育課程で扱わない分野の問題は、出題から排除しなければならない」。この言葉で国内は大騒ぎになった。

修学能力試験を150日後に控え、極めて敏感である入試というものに、大統領が異例の「直接的なガイドライン」を示した――こう受け止められた。大統領発言の波及力はすさまじかった。

もちろん、序盤は混乱が大きかった。イ・ジュホ氏がブリーフィングで、誤って「ユン大統領が『学校授業で扱わなかった内容は、出題から排除せよ』と指示した」と伝えたことも、混乱に拍車をかけた。これを訂正する際、本来の大統領指示事項にあった「弁別力の確保(難問も出題して差をつけること)」という文言を落とした結果、騒動が起きた。

パク・ソヨン記者(c)MONEYTODAY

◇「利権カルテル」

混乱が過ぎると、次は、ユン大統領が口にした「利権カルテル」の中身が議論され始めた。

現職の教師らが「修能出題委員の経歴」を前面に掲げて、ソウル・江南(カンナム)一帯の有名入試塾(予備校)に「修能模擬試験問題」を販売したり、入試塾に転職したりしていた。だが、韓国教育課程評価院はこれを知りながら放置していた。

こうしたカルテルを可能にしたのが「キラー問題」(超高難度の問題)だ。ユン大統領はこの問題を早い段階で把握し、改善を指示した。だが、教育省官僚集団は無反応だった――。大統領の指示に教育省が従わなかったという事実が明らかになったわけだ。

今年3月の段階で、評価院が「今年の修能でキラー問題は出さないが、一定の難問も出す」と発表したが、私教育界に打撃はなかった。教育省との「共生関係」は簡単には崩れないという期待があったからだ。

ところが、ユン大統領の一言で入試生態系に亀裂が生じ始めた。

ユン大統領は、従来の政治家の文法に従わない。公教育正常化など壮大なビジョンを明らかにするより、まず「キラー問題」に触れ、教育界に巨大な衝撃を与えた。混乱しないはずがない。

親は私教育費で、子どもたちは果てしない競争でそれぞれ苦しめられているというのが、現在の不幸な教育だ。この現実が衝撃なく、改善されるだろうか。

ユン大統領の「変則的なスタイル」に期待をかけたい。

【MONEYTODAY パク・ソヨン記者】

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular