2024 年 4月 20日 (土)
ホームビデオ北朝鮮に引き渡された漁民、床に頭を強打

北朝鮮に引き渡された漁民、床に頭を強打

脱北者2人を板門店を通じて北朝鮮に引き渡す状況を撮影した写真(統一省提供)©news1

韓国統一省は18日、北朝鮮漁民2人送還(2019年11月7日)の際の現場映像に公開した。漁民は両手を縛られた状態で、施設内を移動させられている様子が映し出されている。

漁民送還現場(統一省提供映像)©news1

与党「国民の力」所属のテ・ヨンホ(太永浩)議員によると、韓国軍当局は送還当日午前9時ごろ、国家安保室から「軍は送還手続きを担当できるか」という問い合わせを受けた。軍当局は国連軍司令部との協議を経て、同午前11時30分ごろ、「軍レベルの民間人送還は不可能」と返答した。

このため、国連軍司令部が管轄するJSA(共同警備区域)警備大隊の代わりに、私服の警察特攻隊員8人が投入され、北朝鮮漁民2人を北朝鮮の朝鮮人民軍に引き渡した。

映像では、漁民とみられる人物が板門店の境界線付近に到着した際、床に頭を打ち付けたため、ドスンという鈍い音が響き渡り、警察特攻隊と推定される私服の人物が大声を上げた。その後、漁民は捕らえられたまま、境界線まで引きずられた。

通常、民間人の護送業務は赤十字が担当していた。だが、漁民2人送還の際は軍投入が検討されていたことから、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権は、漁民らの強い抵抗を受けることを想定していた可能性がある。亡命意思の信ぴょう性が低かったと発表したムン政権の立場とは異なる対応だ。

漁民2人は2019年11月2日、北方限界線(NLL)を越えて韓国入りした。韓国海軍によってだ捕され、政府の尋問を経て北朝鮮への送還が決定された。ムン政権は「漁民2人が小型イカ漁船で船長をはじめ16人を殺害しており、亡命意思は明らかにしたが、信ぴょう性に欠けている」と明らかにしていた。

国民の力側は、漁民の亡命の意思が希薄であれば、頭をぶつけるという行動に出る理由はなく、そもそも捕縛する必要もない。「北朝鮮に帰りたい」と思うならば、抵抗するはずがない、という理屈になる。

統一省は「脱北漁民が憲法上、韓国国民であり、北朝鮮に渡った場合に受けるさまざまな被害を考えるならば、送還は明確に誤った部分がある」という立場を取る。人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」が、北朝鮮への送還が反人権的な処置だったと批判するなど、国際社会でも波紋が広がっている。

©news1

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