2026 年 5月 29日 (金)
ホーム政治北朝鮮「タバコを吸ったら口に銃を」…エリート秘密警察出身の脱北者の夫が明かす、恐るべき家庭内しつけと衝撃の過去

「タバコを吸ったら口に銃を」…エリート秘密警察出身の脱北者の夫が明かす、恐るべき家庭内しつけと衝撃の過去

tvN STORY「イ・ホソン相談所」放送画面キャプチャ(c)MONEYTODAY

北朝鮮出身の再婚夫婦が、互いの異なる出身背景と、それによる子どもへのしつけ方の違いから生じる激しい葛藤を打ち明けた。26日に放送されたtvN STORYのバラエティー番組「イ・ホソン相談所」第19回では、厳格な規律で家族を統制しようとする夫と、それによる過度な緊張から世間とのコミュニケーションを断絶してしまった子どものエピソードが公開された。

◇保衛部の上流層だった夫と、一般人出身の妻の出会い

この夫婦は、黄海の海上を泳いで命がけで境界線を越えてきた脱北10年目の夫と、中国を経由して定着した脱北20年目の妻が、互いに再婚した家庭だ。現在は、妻が前夫との間にもうけた2人の子どもを含め、共に子育てをしている。

妻は、夫との最大の葛藤の原因として、北朝鮮時代の「出身成分(身分制度)の違い」を挙げた。妻は自身について、北朝鮮では一般的な「人民(平民)」だったのに対し、夫は権力機関である保衛部(秘密警察)出身の上流層の家庭だったと明かした。

また、妻は「夫は北朝鮮でエリート教育を受けた人なので、礼儀作法を過剰なまでに重要視する。子どもの話し方や態度、公衆道徳などについて、少しの乱れも容認しない。あまりにも高圧的に育てるため、子どもがかわいそうになるほどだ」と悩みを吐露した。

これに対し夫は「上の子は韓国の教育システムで育った子なので、私の言うことをうまく理解できないようだ。子どもが私をじっと見つめてくると、私に歯向かおうとしているのかと感じてしまい、それが原因で妻とも頻繁に衝突した」と語った。

◇「拳銃でしつけられた」…夫の厳格な規律の背景にある衝撃の過去

特に、しつけの過程における行き過ぎた統制が問題となった。妻は最近、生後20カ月になる第3子を連れて花見に出かけた際、子どもがぐずると、夫が暴言を交えながら強く押さえつけたエピソードを明かし、不快だった当時の状況を振り返った。

夫もまた、再婚初期に抱いていた本音と、北朝鮮の文化的背景を挙げて釈明した。

夫は「初めて妻と会って食事をした時、子どもがおならをした。その瞬間、母親が一人で育てたから子どもたちに締まりがないのだろうか、と思ってしまった」と告白した。

北朝鮮では父親がいない環境で育った人は軽視され、結婚の条件でも相手に父親がいるかどうかを厳しく問うため、自分が意識してより厳格に振る舞うしかなかったという。

さらに夫は、自身の幼少期の体験を明かし、スタジオを衝撃に陥れた。

11歳の思春期の頃、素行の悪い年上のグループに誘われてタバコを吸ったところ、父親の拳銃で撃ち殺されそうになったというのだ。当時、夫の父親は「もう一度タバコを吸ったら口に銃を撃ち込む」と脅したといい、夫はこうした父親の強いしつけと体罰のおかげで、今の自分が真っ当に育ったと信じ込んでいた。

◇「継父コンプレックスと世代間トラウマの連鎖」

心理相談家のイ・ホソン氏は、夫のこのような状態を「世代外傷転移(一つの世代のトラウマ体験が、次の世代に影響を及ぼす現象)」と診断した。夫は「暴力だけは使うまいと心に決めているが、子どもたちが私の目つきを怖がる」と吐露した。

イ・ホソン氏は、夫のしつけ方について「厳格ではあるが、一貫性があるという点は悪くない。子どもの礼儀作法は重要な部分だ」と評価した。その一方で、「夫には『継父(新しい父親)コンプレックス』があるはずだ。子どもたちが道を踏み外したら、それは自分のせいではないかという恐怖を、人知れず抱えている」と鋭く分析した。これを聞いた夫は、込み上げる感情を抑えきれず涙を流した。

◇ 「高圧的な規則ではなく、情緒的な親密さを築くべきだ」

イ・ホソン氏は、夫婦に向けて実践的な解決策を提示した。まず夫に対し、高圧的な規則を強要するよりも、情緒的な親密さを先に築くことを勧めた。例えば、出勤する時に子どもたちを無理に部屋から出させて挨拶させるのではなく、自然にハグを交わすような形に、統制のスタイルを変えるよう提案した。

また、父親からの厳格な一方通行の通達ではなく、家族全員が参加する「家族会議」を開くよう助言した。家族の構成員全員が回り持ちで会議を進行し、自由に意見を出せる雰囲気を作った上で、夫はそれらを有意義に集約し、調整する役割を担うべきだと強調した。

(c)MONEYTODAY

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