2026 年 6月 4日 (木)
ホーム経済IT/メタバース韓国サムスン・LGが無料配信「FAST」強化、Kコンテンツ輸出の新ルートに

韓国サムスン・LGが無料配信「FAST」強化、Kコンテンツ輸出の新ルートに

グローバルFAST市場規模の見通し(c)MONEYTODAY

スマートテレビとインターネット回線さえあれば無料で視聴できるリアルタイム放送「FAST」が、北米などグローバル市場で主流として浮上し、韓国サムスン電子やLG電子などハードウエアメーカーがFASTプラットフォームの育成に乗り出している。政府もKコンテンツの輸出ルートとして活用する青写真を描いている。ただ、有料放送料金が安い韓国では成長が鈍いとの分析も出ている。

サムスン電子は30日から、自社FASTプラットフォーム「サムスンTVプラス」で「SM月間コンサート」を独占配信する。SM月間コンサートは、SMエンターテインメント所属アーティストの公演実況を配信する番組で、毎週土曜日午後7時に放送される。最初の出演者は人気ボーイズグループ「NCT WISH」で、アーティストは毎月変わる。オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、メキシコなど5カ国で視聴できる。

FASTは「Free Ad-Supported Streaming TV」の略で、広告型無料ストリーミングサービスを意味する。これまでFASTは「無限挑戦」「1泊2日」「孤独のグルメ」など既存のバラエティーやドラマの再放送を中心に運営されてきたが、サムスン電子が独占コンテンツの確保に乗り出したものとみられる。現在、世界30カ国で4300余りのチャンネルを運営するサムスンTVプラスは、2026年初めにグローバル月間アクティブユーザー数1億人を突破した。

競合のLG電子も同規模のFAST「LGチャンネル」を運営している。特にLG電子は、独自のスマートテレビOS「webOS」を前面に出し、他社のスマートテレビにも「LGチャンネル」を供給する戦略を取っている。

FASTは、有料放送料金が高い北米などのグローバル市場で急速に成長している。米市場調査会社パークス・アソシエイツが米国内のインターネット利用世帯8000世帯を対象に調査した結果、全体の46%が長編映像コンテンツ視聴のためFASTを利用したことがわかった。このうちサムスンTVプラスとLGチャンネルは、それぞれシェア4位と6位だった。

パークス・アソシエイツは「サブスクリプション疲れとストリーミング費用の上昇により、FASTのシェアが上昇している」とし、「広告主もFAST市場へ移動するだろう」と分析した。市場調査会社マーケットリサーチは、2025年に約76億ドル(約1兆1400億円)だったグローバルFAST市場規模が、2032年には194億ドル(約2兆9100億円)まで成長すると見通した。

政府はFASTをKコンテンツ輸出のルートとみている。科学技術情報通信省と韓国情報通信振興協会(KAIT)は2025年4月、プラットフォーム企業や韓国の主要放送局、FAST運営会社などが参加する官民一体の「グローバルK-FASTアライアンス」を発足させた。アライアンスには2025年末時点で、発足当初の3倍以上となる68社が参加したとされる。科学技術情報通信省は追加補正予算で「AI吹き替え特化K-FAST拡散」事業に使う80億ウォン(約8億8000万円)も確保した。

一方、ケーブルテレビやIPTVなど有料放送料金が安い韓国市場では、FASTへの転換は遅れるとの分析が出ている。業界関係者は「FASTはOTTよりも有料放送に性格が近いが、韓国は有料放送価格が非常に合理的だ。サムスン電子やLG電子はグローバルテレビ販売量が減少する中、FASTを新たな突破口としている」と説明した。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular