2024 年 5月 7日 (火)
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[KWレポート] 韓国の「結婚しない」MZ世代たち (3)

本人の意向尊重…親も強要せず

ソウル市内の式場で開かれた結婚式の様子©NEWSIS

韓国のMZ世代で「結婚しない」という選択が増加傾向にあります。結婚に対する価値観の変化に加え、経済面での制約が背景にあるようです。韓国社会における「結婚」はどう変化しているのでしょうか……。(シリーズ3/5)

親の世代をみてみよう。

50代主婦のイさん――。

娘はあと2年で、イさんが結婚した年齢になる。娘が結婚をしようがしまいがどちらでもよい。「しない」と言ってくれれば、むしろ歓迎だ。

「いくら世の中が変わったといっても、結婚や出産によって人生の大部分に変化が生じるのは事実。仕事を辞めて大学院に行きたいというのなら、学費を支援してあげる。でも結婚を機に仕事を辞めるというのなら、結婚そのものに反対すると思う」

ともかく、本人の意思を尊重するという。イさんの夫も、結婚を強要する考えはまったくない。娘とコミュニケーションを密にし、「後援者」として支えてあげたい、という考えを持っている。

NEWSISの取材を総合してみると、かつては結婚適齢期の女性がいれば、彼女のためにさまざまな環境を整え、結婚を促す親が多かった。だが最近は、本人の結婚観を尊重する雰囲気がある。それゆえ、MZ世代は、親世代の共感・応援に支えられ、気兼ねなく、非婚を決心したり結婚を先送りしたりしている。

ソウル市が昨年、ソウルサーベイや住民登録人口の統計資料を用いて調査した結果、MZ世代のなかで「結婚は必ずしなければならない」に同意するのは、10点満点でいえば4.46点。つまり反対意見の方が多かった。

ほかにも「結婚後、子供は必ずもたなければならない」(4.22点)▽「同棲を結婚の形として認める」(5.24点)――という数字がはじき出され、さらに「夫婦間の問題を解決できなければ、解決策は離婚である」が6.92点を記録した。

これがMZ世代の結婚観というわけだ。

一方で、こうしたMZ世代の考えに、意外にも親の世代が大きな影響を与えているという側面がある。

40代中盤の女性Aさん――。

「娘にはいつも、結婚はあくまで選択肢のひとつであり、必須ではないと話している。私は晩婚だが、実家の母親が結婚に関し、プレッシャーをかけてきたことはない」

結婚式の前日、Aさんの母親はこう伝えてきた。

「生きていれば、いろんなことがある。でも『これは本当に間違っている』と感じ、辛くて我慢できなければ、遠慮せず帰ってきなさい。他人の機嫌を取って生きる必要なんてない」

この母親の言葉が今も支えになっているという。「娘にも同じように言ってあげたい」そうだ。

(つづく)

©NEWSIS

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