2026 年 5月 19日 (火)
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韓国・李在明政権初の統一白書、「南北は事実上2国家」と明記し波紋

チョン・ドンヨン統一相(c)news1

韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権で初めて発行された統一白書に、韓国と北朝鮮が「事実上、二つの国家」だとする政府の評価が盛り込まれ、論争が予想される。北朝鮮が2023年12月から南北関係を「敵対的な二つの国家」と規定してきたことを、韓国政府が公式に認めたものだとの批判も出ている。

韓国統一省は18日に発行した白書の「朝鮮半島平和共存政策推進」の項目で、北朝鮮の「敵対的な二国家関係」という主張について、「統一を志向する平和的な二国家関係」への転換が必要だと継続的に強調してきたと明らかにした。

さらに「南北が事実上、二つの国家として存在する現実を考慮」し、「南北関係を統一を志向しながら平和に共存する関係にしていきたい」と付け加えた。

白書はこの概念について、南北間の緊張緩和を通じて北朝鮮が感じる不信と脅威を和らげ、「敵対」を「平和」へ転換することで、朝鮮半島の平和共存を制度化することに重点を置いていると説明した。

毎年発行される統一白書に「平和的二国家論」が明記されたのは今回が初めてだ。統一省は「南北が事実上、二つの国家として存在する現実」という表現が、北朝鮮の主張してきた「二国家論」を受け入れるものだとの指摘に対し、1991年に南北が国連に同時加盟して相互の国際法上の実体を認め、「南北基本合意書」の採択を通じて互いの政治的実体を尊重し、特殊関係であることを受け入れた歴代政府の立場を継承したものだと説明した。

キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は2023年12月、南北関係を同族ではなく「敵対的な二つの国家」であり「戦争中の二つの交戦国関係」と規定した。北朝鮮は2026年に憲法を改正し、「領土条項」を新たに明記したほか、南北境界地域一帯で陸路を断ち、壁を建設する「断絶化」措置も継続するなど、「二国家」措置を進めている。

韓国政府は、北朝鮮の二国家論を受け入れるものではないとの立場を維持している。ただ、「事実上の二国家論」「現実的な二国家論」とも見られる「平和的二国家論」を社会的な議論にしようとする試みを続けてきたとの評価もある。

チョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相は2025年の国政監査で、「統一志向の平和的二国家」論が政府の立場として確定されると述べた後、政府内で異論が出ると発言を修正し、「統一省の案として確定される」と言い直したこともある。

二国家論は、韓国憲法3条と4条が大韓民国の領土を朝鮮半島全体とその付属島しょと定め、自由民主主義的な統一を志向するよう規定しているため、違憲だとの批判を受けてきた。政府は「平和的二国家論」が憲法精神に反するものではなく、北朝鮮を対話へ導くための「現実的」な方策を探す次元で出たものだとの立場だ。今回の白書でも「統一を志向する」という表現を維持した。

白書全体では、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権時代に強調していた「北朝鮮人権」問題の記述より、南北関係の復元と平和共存の制度化に重点を置いた政策推進過程の説明に集中した。統一省の組織改編を通じた南北対話・交流協力機能の復元、北朝鮮住民接触申告制度の改善、統一教育の「平和・統一・民主市民教育」への転換などが主な政策変化として盛り込まれた。

政策基調の転換は、単語の使用頻度にも表れている。「平和」または「平和共存」という表現は2025年白書の115回から2026年は613回へ5倍以上増え、「会談」または「対話」も128回から249回へほぼ倍増した。

一方で「北朝鮮人権」は291回から39回に、「人権」は410回から101回に急減した。「自由」という表現も118回から21回へ大きく減った。平和共存を強調しながらも、「統一」への言及は1638回から1034回へむしろ減少した点も特徴だ。

構成の変化も目立つ。2025年白書で独立した章として扱われた「北朝鮮人権と人道的問題」は、2026年は「南北人権協力推進」という節に縮小・再編された。2025年の付録に掲載されていた「国連北朝鮮人権決議採択状況」と「国連安全保障理事会対北朝鮮制裁状況」も削除された。

用語の変化も目を引く。ユン・ソンニョル政権の白書で使われた「北朝鮮非核化」という表現の代わりに、今回の白書では「核のない朝鮮半島」と「朝鮮半島非核化」という言葉が再び使われた。「北朝鮮非核化」を北朝鮮が「一方的な非核化」と解釈することを念頭に置いた措置とみられる。

白書はまた、「戦争と核のない朝鮮半島の実現」を3大目標の一つとして提示し、核兵器開発の「中断・縮小・廃棄」へと続くイ大統領のE・N・D構想に基づく段階的で実用的なアプローチを強調した。

9・19軍事合意についても、以前の白書が「効力停止」を安全保障上の成果として記述していたのとは異なり、今回は「9・19軍事合意の精神の復元」と「先制的・段階的復元」の必要性を強調した。米朝関係の表現も、ユン・ソンニョル政権時代に使われた「米北関係」の代わりに、「米朝対話」「米朝関係正常化」などムン・ジェイン(文在寅)政権時代に使われた表現に戻った。

白書はこのほか、北朝鮮体制を尊重し、吸収統一を追求せず、敵対行為をしないというイ・ジェミョン大統領の「朝鮮半島平和共存3原則」も主要な政策基調として提示した。

チョン・ドンヨン氏は発刊の辞で「2025年、私たちは長く止まっていた朝鮮半島平和の時計を再び動かし始めた」とし、「言葉ではなく行動で平和を実践し、南北が平和に共存する隣人として再び向き合って座ることを希望する」と述べた。

(c)news1

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