
韓国・大田の大田オーワールドで発生したオオカミ脱走を受け、市民団体が「韓国オオカミ復元」とされてきた事業の実効性に疑問を呈し、議論が広がっている。
動物保護団体は声明で、今回の脱走は偶発的な事故ではなく構造的な問題の結果だと指摘した。特に、同施設が進めてきた復元事業の正当性に強い疑問を示している。
問題となっているのは、飼育されているオオカミの由来だ。これらはロシアのサラトフ地域から導入された個体で、かつて朝鮮半島に生息していたとされるオオカミとは遺伝的系統が異なる可能性がある。そのため、これを「韓国オオカミ」として復元と呼ぶことには科学的根拠が乏しいと批判されている。
団体は「本来の復元事業であれば、生息環境や遺伝的系統、生態的役割まで総合的に検討すべきだ」と強調した。そのうえで「単なる繁殖と展示の繰り返しを種の保存と呼ぶのは、実質的に動物園運営の名目に過ぎない」と指摘した。
また、繁殖した個体が他の動物園へ移され展示される仕組みについても、「野生復帰とは無関係な循環展示にすぎない」と批判。「保全」という言葉で実態が覆い隠されていると問題提起した。
さらに、脱走の背景にある飼育・管理体制にも厳しい視線が向けられている。団体は、動物の脱走は基本的な管理手順の不備で起きる場合が多いとし、最低限の安全体制が守られていれば防げた可能性が高いと指摘した。
そのうえで、事故のたびに現場職員個人の責任に矮小化するのではなく、運営全体の構造的問題を見直す必要があると訴えている。
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