
韓国サムスン電子の成果給交渉過程で見られたサムスングループ超企業労働組合(超企業労組)の姿は、従来の労働運動とは明確に区別されるとの評価が出ている。MZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)が主軸となり、理念より実利を、不確実な未来より即時的な補償を前面に掲げた。
この流れは産業界全般に広がると予想される。「実利型労組」が拡散することで、韓国の労使文化も変化しそうだ。一方で、これまで労働運動を通じて追求してきた連帯や労働弱者の保護などが後回しになり、労働市場の二極化が深まるとの懸念も出ている。
業界によると、超企業労組は発足当初から既存の労組とは異なる色合いを強調した。2大ナショナルセンターである民主労総と韓国労総に属さない独立労組を標榜し、政治闘争より実用的な労使交渉を志向すると宣言した。実際に超企業労組の執行部も若い世代が中心だ。現委員長と副委員長は、それぞれ1991年生まれ、1985年生まれとされている。
労組の運営方式も過去とは異なった。超企業労組はホームページのトップ画面で組合員数をリアルタイムに公開し、勢力拡大を積極的に示している。過去の労働組合が組合員数を内部管理対象のように扱っていたのとは対照的だ。21日午後2時時点で7万850人だった組合員は、23日午後4時時点で7万1235人に増えたことが確認できる。
最近の労組の強硬な闘争方式も目を引く。特に協力会社の労働者や非正規職問題、社会的議題よりも、成果給の制度化と補償拡大に焦点が合わされた点で、既存の労働運動の公式とは異なるとの評価が出ている。
業界では、こうした変化の背景に、30~40代を中心に労働市場構造が再編されたことがあるとの見方が出ている。終身雇用の概念が弱まり、転職が自然になる中、組織の長期的な未来より、現在の自分の貢献に対する即時的で確実な補償をより重視するようになったということだ。
成均館大学社会学科のク・ジョンウ教授は次のように分析する。
「大半の産業の主力労働者は30~40代だ。企業と長期的な信頼関係を形成して共生するという概念より、現在与えられた状況で即時的な補償を望むのが若い世代の共通した特徴だ。労働者階層全体の連帯意識は以前よりかなり弱まった。特に高所得産業群では、企業内の構成員の利益を最大化しようとする戦略がより強まっている」
実際、最近は会社員匿名コミュニティーやSNSなどを通じて、競合他社の年俸や成果給水準がリアルタイムで共有され、社員の補償要求も一段と具体化している雰囲気だ。過去の漠然とした相対的剥奪感が、数字に基づく比較に変わっているという説明だ。
世宗大学経営学部のキム・デジョン教授も「サムスン労組が注目される理由は、理念や連帯より『自分の取り分を正確にほしい』という個人的実利中心である点だ」と診断した。
キム教授はこうした変化の背景として、会社員向けプラットフォームなどを通じた情報の民主化、活発になった転職市場、企業の成果主義文化の拡散などを挙げた。「会社が成果を強調するほど、社員も自身の貢献に対する正当な補償を数値で要求するようになる。要求が受け入れられなければ会社を離れられるという認識そのものが、新たな交渉力になっている」
専門家らは、このような「実利型労組」が今後、半導体、情報技術、バイオなど高熟練産業を中心にさらに広がる可能性が大きいとみている。ただ、製造業やサービス業などでは従来型の伝統的労組モデルも依然として維持される可能性が高く、当面は二つの流れが共存するとの見通しが出ている。
一方では、労働界内部の二極化と労働者間の対立が深まる可能性も指摘されている。成果中心の補償体系が強化されるほど、同じ労働者の内部でも賃金格差と利害関係の違いが広がり得るためだ。実際、賃金交渉の暫定合意案に対する組合員賛否投票が始まった22日、DX(デバイス経験)部門中心の労組組合員らは集団否決運動に着手した。
ク・ジョンウ教授は「今後の労働運動でも、公正性をどう定義するのかが重要な争点になる。実力主義中心の公正性を強調するのか、平等主義的な公正性を重視するのかをめぐり、内部論争が大きくなる可能性がある。一部の産業群だけが継続して多くの補償を得る方式が適切なのか、それとも共生と分配をともに考慮すべきなのかをめぐる社会的議論も必要だ」と語った。
労働組合の役割が実利中心に再編されれば、労働界本来の連帯機能が弱まる可能性があるとの懸念もある。中央大学社会学科のイ・ビョンフン名誉教授は「包摂的な態度が労働組合のカギだ。事業場の外にいる労働弱者まで受け入れる労働組合になった時、交渉力も大きくなり、社会的発言権も大きくなる」と述べた。【news1 ヤン・セロム記者】
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