
北朝鮮が最近、スマートフォンのWi-Fi接続に関する規制を一部緩和する一方で、利用者の監視体制はむしろ強化されているとの分析が出ている。新たに「移動通信識別子」と呼ばれる制度を導入し、個人認証と追跡の精度を高めているとみられる。
米国のシンクタンク研究者が公表した報告書「2026年の北朝鮮のスマートフォン」によると、北朝鮮は「未来」と呼ばれるアプリを通じて、国家が運営するWi-Fiネットワークへの限定的な接続を認め始めた。従来は端末にWi-Fi機能があっても、利用者が自由に接続することはできなかった。
現在、北朝鮮では少なくとも3つの機関が4つの無線通信網を運営しているとされる。高麗リンクは第3世代(3G)通信を提供し、「強盛」は3Gと4G(LTE)を併用、「未来」はWi-Fiベースのネットワークを担っている。
ただし、端末には改変されたアンドロイド系の独自OSが搭載されており、国家の認証を受けていないコンテンツの実行を遮断する仕組みが組み込まれている。さらに、画面の使用状況を無作為に記録する機能や、外部Wi-Fiや海外通信網への接続遮断など、強力な統制は維持されている。
注目されるのが「移動通信識別子」と呼ばれる新制度だ。情報産業省が発行する10桁の番号で、電話番号とは別に管理される個人固有の識別番号とみられる。通信サービスの利用時には、この識別子に加え、ユーザーIDや公民証番号の入力が求められる場合もあり、多層的な個人認証体制が構築されつつある。
北朝鮮は2020年に「移動通信法」を採択し、2023年には内容を改定。端末利用や通信サービスの管理規定を細分化し、統制を強化してきた。
一方で、国内のスマートフォン市場は競争が活発で、少なくとも24のブランドと500以上の国産アプリが存在するとされる。衛星画像分析では、主要な人口密集地域の多くが移動通信網に接続可能と推定され、通信インフラは農村部にも拡大している。
国際電気通信連合(ITU)は2024年時点で携帯通信加入者数を約635万人と推計しており、その後もスマートフォン普及と4G網の拡張に伴い、利用者は増加している可能性が高い。
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