
韓国で改正労働組合法(黄色い封筒法)が10日に施行され、下請け労働者が元請け企業や公共機関に団体交渉を求める動きが韓国各地で広がっている。
今回の改正では、元請け企業の「使用者責任」の範囲が拡大された。労働条件に対して「実質的・具体的支配力」を持つ企業は、直接の雇用関係がなくても使用者と認められる可能性があり、下請け労働者が元請け企業に直接交渉を求める道が開かれた。
韓国労働組合総連盟(韓国労総)によると、傘下の全国金属労働組合連盟は同日、ポスコの代表取締役に団体交渉要求書を送付した。同連盟は、ポスコの下請け会社34カ所の労働組合から交渉権限の委任を受けており、対象となる組合員は約3500人に上る。
ポスコは社内掲示板で交渉要求の事実を公示し、ほかの下請け労働組合にも17日まで交渉要求が可能だと通知した。ただ同社は「実質的支配力が及ぶ範囲については法的判断を経て進める」との立場を示している。
物流業界でも動きが出ている。韓国労総傘下の全国宅配産業労働組合は、クーパンロジスティクスサービス(CLS)に団体交渉を求める文書を送付した。
民主労総系の労働組合も動きを広げている。民主労総全国金属労組によると、社内下請けや業務委託など147事業所の労働者約1万人が、現代自動車、現代モービス、HD現代重工業、韓国GM、韓国タイヤなど16の元請け企業に交渉を求めた。
公共部門でも同様の動きがみられる。民主労総公共運輸労組は仁川国際空港公社や大学、コールセンターなど35機関に交渉を求め、対象となる労働者は約7859人。
さらに、京畿信用保証財団の労働組合が京畿道に団体交渉を要求するなど、地方公共機関の労働組合が自治体に直接交渉を求める事例も現れている。
労働界は、元請け企業が下請け構造の中で実質的な権限を持ちながら交渉責任を回避してきたと指摘し、今回の改正を交渉権強化の契機とみている。
一方、経済界は元請け企業への交渉要求が急増し、産業現場での対立が拡大する可能性を懸念している。
韓国経営者総協会は「使用者性が認められた範囲を超える過度な要求や違法行為は控えるべきだ」としたうえで、政府と中央労働委員会に公正な判断基準の整備を求めた。
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