
韓国で「金価格の全盛時代」が到来する一方、街の貴金属店を営む小商工人たちは「これほどの不況は初めてだ」と悲鳴を上げている。物価高と中東戦争による地政学的リスクで消費心理が冷え込んだうえ、大型取引所や中古取引プラットフォームの攻勢に押され、次第に立場を失っているためだ。
さらに、金価格の上昇に伴って貴金属店を狙った犯罪が増え、店主らは防犯強化に必要な追加費用の負担まで抱える状況になっている。
光州市東区で20年以上、貴金属店を営んできたホン・ヨンファンさん(63)は、1年で売り上げが70%近く急減した。ホンさんは「40~50年携わってきた先輩たちも、今ほど厳しい時はなかったと口をそろえる。金融危機の時より今の方がはるかに難しい」と吐露した。
3カ月目に入った中東戦争は「史上最悪の氷河期」をあおる主な原因の一つだ。価格の変動幅が大きくなり、不確実性を警戒する消費者の財布は完全に閉じた。
ホンさんは「貴金属は安全資産なので不確実性が大きい時に上がるが、最近は消費心理が大きく沈んでいる。中古取引プラットフォームや雨後のたけのこのようにできた金取引所に客を多く奪われた」と話した。
釜山で40年にわたり店を続けているカンさん(72)も、事情は大きく変わらない。カンさんは「周辺で店を閉める業者が増えているが、この雰囲気なら年末までに半分は消えそうだ」とため息をついた。
ソウルで30年近く店舗を守ってきたキムさん(68)は「金価格があまりにも上がり、一般消費者が減ったことが業界最大の悩みだ。企業型取引所まで入ってきたため、資本が少なく地域商圏にある一般店舗は追い込まれ、枯死寸前だ」と語った。
企業向け記念品や金地金制作など、企業間取引市場も同じように冷え込んでいる。キムさんは「金の記念品を制作する企業が大きく減った。さらに以前は100万ウォン(約11万円)相当で作ってほしいと言っていた企業が、最近は予算を50万ウォン(約5万5000円)程度に減らした。金の含有量を下げて単価を合わせようとするのだ」と説明した。
例年であれば期待が高かった5月の結婚シーズンも、今では昔の話だ。カンさんは「最近の若い人たちの月給は300万~400万ウォン(約33万~44万円)なのに、1匁(3.75グラム)100万ウォンほどの金をどうやって買うのか。婚礼品としてペアリング一つ程度だけにする」とし、「家と車を用意した後、余裕があって初めて貴金属に目を向けるだろうが、簡単ではない」と話した。
泣き面に蜂で、相次ぐ窃盗犯罪が店主らの悩みをさらに深くしている。京畿南部警察庁は最近、相次ぐ貴金属店やコンビニエンスストアを対象とした「特別警報」まで発令した。
犯罪の標的となった店主らは、大金をかけて防犯装置を強化している。ホンさんは「昔は貴金属店一つを壊滅させるようなタイプの犯罪が多かったが、最近はショーケースを壊し、高価な品物を選んで持っていく。そのため、時間がかかる金庫型ショーケースの人気が高い」と話した。ホンさんが新しい金庫型ショーケースを導入するために使った金額は2000万ウォン(約220万円)だった。
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