
韓国の大学街で、かつて一般的だった飲み会中心の文化が急速に薄れつつある。Z世代(1990年代半ばから2010年代前半の生まれ)の学生たちは酒を控え、自己啓発や健康を重視するライフスタイルへと移行している。
ソウル・恵化駅周辺では、夜でも飲食店街の人出がまばらとなり、代わりにカフェへ向かう若者の姿が目立つ。以前は歓声や飲みゲームでにぎわっていた大学街の風景は、大きく様変わりした。
学生の間でも変化は顕著だ。ある大学生は「打ち上げ=大量に飲むという文化は崩れた」と話す。最近の合宿では、数十人が朝まで起きていたにもかかわらず、酔いつぶれる人はほとんどおらず、素面で会話を楽しむ光景が広がったという。
こうした傾向はデータにも表れている。韓国疾病管理庁の調査によると、19歳から29歳の月1回以上の過度な飲酒率は、2022年の45.2%から2024年には42.7%へと低下した。さらに、若者の飲み会頻度は月平均1.51回と、全世代で最も少ない水準となっている。
背景には「ソバーキュリアス(あえて飲まない)」という価値観の浸透がある。酒を飲まない選択は特別なものではなく、日常的な行動へと変化しつつある。
この変化は市場にも影響を及ぼしている。韓国の酒類出荷量は2024年に前年比約2.4%減少し、若年層の需要縮小が業界全体に影響を与えている。
若者が酒から距離を置く理由の一つはコストの上昇だ。外食価格の高騰により、焼酎1本は約6000ウォン(約660円)に達し、飲み会1回で数万ウォン(数千円)がかかることへの抵抗感が強まっている。ある学生は「二日酔いで苦しみながらお金を使う意味を感じない」と語る。
しかし、それ以上に大きいのは価値観の変化だ。時間を無駄にしない効率志向が広がり、「飲酒に費やす時間がもったいない」と考える若者が増えている。浮いた時間や費用は、運動や美容、資格取得など自己投資に充てる傾向が強い。
いわゆる「ガッセン(充実した生活)」志向が、大学文化そのものを塗り替えつつある。酒に頼らず交流し、健康と成長を重視する新たな価値観が、キャンパスの夜の風景を大きく変え始めている。
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