
スマートフォンのカメラが“出っ張る”時代が終わる可能性が出てきた。韓国の研究チームが、超薄型の次世代光学素子「メタレンズ」を超高速で量産できる技術を開発した。
科学技術情報通信省は4月16日、成均館大学のチョ・ギュジン教授、キム・インギ教授の研究チームと、浦項工科大学のノ・ジュンソク教授チームが、可視光で動作するメタレンズを毎秒300個以上生産できる「ロール・トゥ・ロール(R2R)ナノ印刷工程」を開発したと発表した。研究成果は国際学術誌『Nature』に掲載された。
メタレンズはナノメートル単位で光の位相や振幅、偏光を制御する平面レンズで、従来のガラスレンズに比べて数百倍薄いうえ、高精度の光学性能を持つ。ただ、これまでは半導体工程に依存していたためコストが高く、大量生産が難しい点が課題だった。
従来は硬いニッケル製の金型を使い、1枚ずつ製造していた。これに対し研究チームは、柔軟な高分子素材の複製金型を直径12インチの円筒ローラーに加工し、回転させながら連続的にレンズを印刷する方式を確立した。新聞を印刷するように連続生産できる点が特徴だ。
さらに特殊な表面処理で金型の耐久性と解像度を高め、従来比で最大約100倍の生産速度を実現した。200メートルに及ぶ連続工程でも性能のばらつきはほぼなく、安定性も確認された。
加えて、原子層堆積法(ALD)で酸化チタンをコーティングし、可視光全域で90%以上の光効率を確保した。レンズ性能を示すシュトレール比も0.8以上を達成し、高性能の基準を満たした。
今回の成果は、メタレンズ普及の最大の障壁とされてきた「量産性」の問題を克服した事例と評価されている。超薄型で高性能という特性を生かし、スマートフォンのカメラの突起を抑えるほか、拡張現実(AR)グラスや医療用画像機器、宇宙光学システムなど幅広い分野への応用が期待される。
研究チームは、高コストのため実用化が難しいと考えられてきたメタレンズを、産業レベルで毎秒300個以上生産できることを初めて示したと強調した。また、設計から量産工程まで一体となった技術力が国際的に認められたとし、今後は次世代光学産業の実用化を大きく前進させる基盤になるとの見方を示した。
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