
韓国の流通業界で「クイックコマース」と呼ばれる即時配送サービスの競争が激化している。単なる配送スピードの競争ではなく、消費行動や流通構造そのものを変える戦略として注目されている。
業界によると、クイックコマースは注文から1~2時間以内に商品を届けるサービスで、これまで課題とされていた収益性も、需要の拡大とともに改善の兆しを見せている。当日配送や深夜配送が一般化したことで「速さ」自体の差別化は弱まり、必要なものをその場で購入する消費スタイルが広がったことが背景にある。
市場規模も拡大が見込まれており、デリバリーヒーローは2026年の韓国市場を5兆ウォン(約5380億円)規模と予測している。実際、配達の民族のBマートは2026年1~3月期に過去最高の実績を記録し、注文数は前年同期比37%増、取引額も36%増加した。
特に生鮮食品の売り上げが50%以上伸びた点は、クイックコマースが緊急用途にとどまらず、日常の買い物として定着していることを示している。
流通各社はこの流れを受け、既存の店舗や物流網を活用したサービス拡大に乗り出している。ホームプラスは大型マートを物流拠点として活用し、配達網の強化を進めている。クーパンイーツとの連携により、クイックコマース対応店舗は計47店舗に拡大した。
SSGドットコムもイーマート店舗を基盤に、半径3キロ圏内への即時配送サービスを展開し、売り上げを大きく伸ばしている。
コンビニ業界も全国の店舗網を生かし、配達プラットフォームへの参入を加速させている。
こうした動きの中で、競争の軸は「誰がより速いか」から「誰がより日常生活に密着できるか」へと移りつつある。
今後は商品構成や価格、物流効率、商圏の掌握力などが新たな競争要素になるとみられている。一方で、大型マートの義務休業日にはサービスが制限されるなど、制度面での課題も残っており、業界は対応策を模索している。
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