
韓国で、インターネット上の悪質な嘲笑やヘイト表現の流通を防ぐための、いわゆる「イルベ禁止法」が発議され、主要なオンラインコミュニティーやSNSを中心に、ネットユーザーの間で激しい論争が起きている。法案が規定する「嘲笑・ヘイト情報」の定義の曖昧さや、表現の自由の萎縮を懸念する声が上がる一方、無分別なヘイト表現への強力な制裁が急務だったとして法案を歓迎する立場も拮抗している。
法案発議のニュースが伝えられた5日以降、利用者の多い大手コミュニティーでは、法案の実効性と副作用をめぐり、さまざまな意見が相次いだ。特に懸念されているのが、「嘲笑と戯画化」という概念の基準が主観的になり得る点だ。
あるネットユーザーは「侮辱や卑下の基準を誰がどう判断するのか。政治風刺や単なるユーモアまでヘイトとみなされ、処罰や検閲の対象になる恐れがある」と指摘した。別の利用者からも「サイト閉鎖まで可能にすれば、運営者が萎縮して通常の書き込みまで無条件に削除する過度な検閲社会になりかねない」との意見が上がった。
一方、これまで法の死角で深刻化してきた集団的な加害行為や故人への冒とく、災害被害者への嘲笑などを根絶するために必要な措置だという反論も少なくない。
ある利用者は「特定のコミュニティーが、ミーム(ネット上の流行)を言い訳に社会的弱者や悲劇的な事件の犠牲者を嘲笑してきた行為は度を越していた。サイト運営者に強い責任を問わなければ解決しない」と主張した。表現の自由は、他人の尊厳を侵害しない範囲でのみ認められるべきだという指摘も続いている。
政界や法曹界でも、法案の細部条項をめぐって解釈が分かれている。法案には表現の自由の侵害を防ぐ安全装置が含まれているとされるが、売上高の3%にあたる課徴金やサイト閉鎖など処罰の水準が高すぎ、過剰禁止の原則に反する可能性があるとの批判が出ている。
これに対し、個人の逸脱にとどまらず、プラットフォーム単位で流通するヘイトを防ぐには強力な制裁手段が避けられないという反論も根強い。法案が本格的な審査段階に入れば、「ヘイト表現の明確な基準確立」をめぐる論争はさらに深まるとみられる。
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